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「…良いんじゃないですか、そのままで。知らないことも良いことですよ。知らないことを武器にしたら良いです。何も入っていない箱の方が、その後、沢山物が入るんですよ？」
私の言葉に、彼は驚いたように顔を上げて黙って私を見つめた。
「だって…もうプロ並みに上手な人欲しいなら、わざわざこんなことしないんじゃないですか？やらせならともかく、スタッフまでこんなところに泊まり込んで本気出してるってことは、純粋に可能性をひめてる人を見つけたいんだろうし、チャンスをあげたいんじゃないですかね。」
そこまで言って、私は、初めて真正面から登坂を見つめ返して…
「…それに…作りたい絵があったとして、絵が上手な人に途中まで描いてもらって、最後は自分の好きな感じに仕上げた方が効率良いけど…、どんなに効率悪くても、こだわって、真っ白な画用紙に、最初っから自分で描きたい人だっていますよ。ここにいる偉い人達、結構後者のタイプ多いかもだし。」
そう、冗談っぽく言って、笑顔を返した。
一瞬呆然とした彼は…
その後、ハッとするような笑顔になって…
「ありがとうございます。すごく…嬉しい。」
そう言って頭を下げた。
…男の人なのに、なんて可愛く笑うんだろう。
…そして、こんな下っ端の私の言葉にも、こんな風に素直に感謝できるなんて…
なんて素敵な人なんだろう。
「…いや、逆にすみません。下っ端の私が偉そうなこと言って。」
段々申し訳なくなってきて…カゴを再び持ち直して歩き出した時…
「…えっと…名前、教えてもらって良いですか？何年目の方なんですか？」
遠慮がちに聞いてきた登坂に…
「清水川A。…今年入ったばっかりだから、あなたがこのオーディションに受かったら、私達、同期になるね。…あ、それと、同じ歳だから敬語じゃなくて良いよ、登坂君。」
少しだけ振り返ってそう答えた。
これが、私たちの10年の始まりの日。
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◎まる◎(プロフ) - naoさん» うふふ…(//∇//)読んで頂けたかしら？ (2020年6月21日 23時) (
レス) id: 508ee6699a (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - まさかの第4段！！嬉しいです泣あれ？公開、、、あります？気長に待ちます嬉 (2020年6月21日 11時) (レス) id: 2dc192e921 (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - yukaさん» ありがとうございます(//∇//)好きなお話だけ読めるのが短編の醍醐味ですよね(≧∀≦)引き続き臣さん一本でお楽しみくださいね(^-^) (2020年6月17日 2時) (レス) id: 508ee6699a (このIDを非表示/違反報告)
yuka(プロフ) - 何度も読み返しております（しかも…臣くんのstoryのみ…ごめんなさい）なぜだか毎回ニヤケテ読んでおります。まるさんが描く臣くんのファンです。また、お逢いできますように… (2020年6月16日 21時) (レス) id: 847a41b2a1 (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - k-omiさん» Bonjour(//∇//)！って、どこから帰国した��(ﾟДﾟ)！？気持ちは、臣さんの第二の故郷フランスはパリからの一時帰国ということで…(//∇//)少しでも、気分転換のお役に立てますように…！コメントありがとうございます(^-^)！気持ち、抑えないで〜（笑）！！ (2020年6月16日 5時) (レス) id: 508ee6699a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◎まる◎
| 作成日時：2020年4月14日 15時
