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臣side
「「あ」」
病院の玄関を潜って、エレベーターに乗り込もうとしたところで千里ちゃんに出会した。
「登坂くん、お仕事帰り?」
「うん。隆二はもうちょいかかるって。…ってそんなこと知ってるか。」
俺の言葉に千里ちゃんはニッコリ笑った。
その目の下には小さなクマ。
Aの事件をきっかけに、千里ちゃんは眠れなくなって…どんなに仕事が遅くなっても、隆二は千里ちゃんの部屋に帰っていた。
「登坂くん、良いニュースだよ?」
そう言って、自分のスマホを見せてきた千里ちゃんの手元を覗くと…
そこには、岩ちゃんと身体を寄せ合ったAが空の紙袋を得意げに見せてる写真。
「…これ」
「岩ちゃんが、Aの所に来る前に、“絶対ご飯食べないだろうから”って、私たちに彼女の好きなもの作ってって。だからサンドイッチとマカロン作って持っていってもらったの。全部食べたみたい。」
そう言って、写真を嬉しそうに見てる千里ちゃん。
…
「…千里ちゃんは?」
「ん?何?」
「千里ちゃんはちゃんと食えてる?」
俺の質問に、少し驚いた顔になった後…
「登坂くん、本当にオオカミワンコだね。大丈夫、隆二に怒られながらちゃんと食べてるよ?」
ふふっと笑って答えた。
「…オオカミワンコ……?」
「Aがねー、よく言うの。“登坂は一見クールでオオカミみたいに近寄りがたく見られがちだけど、ワンコみたいに人懐っこくていい奴なんだーって。」
「…いい奴…」
「…複雑?」
「…んー。いい奴からもう一歩上に出たいよね?」
そんな会話をしていたら、あっという間に病室の前。
小さくノックしても反応のないドアの向こうに耳を澄ませるけど、何も聞こえなくて…
千里ちゃんと顔を合わせてドアを開いたら…
少し開いた窓と…
揺れるカーテンの中…
岩ちゃんの腕にすっぽりと包まれて…
穏やかな表情で眠っているAと岩ちゃんがいた。
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◎まる◎(プロフ) - mayukaさん» ◎まる◎もくっついたおでこから爆発すると思いますー(//∇//)いや、巻き込むからやめておこう…。今日からシーズン7に入ります。ゆっくりで良いのでお付き合いくださいね。 (2020年5月10日 6時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
mayuka(プロフ) - 一歩進みましたね!主人公ちゃん。オオカミワンコもワンコオオカミもどちらもまたキュンキュンする仕草が多くて…私がされたら心臓もたないシチュエーションばかりー(〃ω〃)おでこコツンとか、正気でいられません笑 (2020年5月10日 6時) (レス) id: 646b85d38a (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - chiharuさん» ぎゃー(きゃーを越えた感激を表す)!お久しぶりですー(//∇//)なぎたんも元気でしょうか?少しでも、心の癒しになれるよう、頑張りますねo(^-^)o (2020年4月29日 13時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
chiharu(プロフ) - お久しぶりです、もうあたしじゃないあたしだから嬉しくて…ん〜気になる〜でも無理なさらずにしてください!!!でも待ってます!!! (2020年4月29日 13時) (レス) id: c6dbe2d6b4 (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - 美憂さん» 美憂さん、いつもありがとうございます(≧∀≦)!少々お待ちをーo(^-^)o (2020年4月28日 21時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2020年4月3日 8時