238 ページ38
臣side
「…怖い?」
「…ううん、大丈夫。」
涙を啜る彼女の返事。
「…怖い時は、ちゃんと怖いって言って…。薬、塗るね?」
俺の言葉にコクコクと頷いた彼女の頭をそっと撫でて…
俺は抱きしめていた彼女から少し離れて、円を描くように薬を塗り始める。
噛み傷に触れるたびにピクッと震える彼女の様子を気遣いながら…
早く消えますように…
祈りながら薬を塗った。
時々…思い出したように彼女が鼻を啜るたび…
頭をそっと撫でて“大丈夫。俺がいるから。”何度も声をかけた。
そんなやり取りがしばらく続いた後…
彼女は、かすれた声で、俺に聞いてきた。
「…登坂…」
「ん?」
「…あざ…消えるかな…傷の跡…残っちゃうかな…。」
…
「…消えるよ、綺麗に。」
「…ふふ…自信満々。…消えると良いな。」
「…消えるって。……もし…消えなかったら…」
「…消えなかったら?」
「…俺がもらってやるから、心配すんな。ま、消えてももらう予定だけどな。」
俺の言葉に、彼女は胸元をタオルケットで隠したまま振り返った。
俺は、彼女を正面からそっと抱きしめて…
…
「…好きだよ……A……何があっても……すげー好きだから。」
ありったけの願いを込めて囁いた。
…どうか
この傷が消える頃…
…彼女の心の傷も癒始めますように…。
986人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
◎まる◎(プロフ) - mayukaさん» ◎まる◎もくっついたおでこから爆発すると思いますー(//∇//)いや、巻き込むからやめておこう…。今日からシーズン7に入ります。ゆっくりで良いのでお付き合いくださいね。 (2020年5月10日 6時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
mayuka(プロフ) - 一歩進みましたね!主人公ちゃん。オオカミワンコもワンコオオカミもどちらもまたキュンキュンする仕草が多くて…私がされたら心臓もたないシチュエーションばかりー(〃ω〃)おでこコツンとか、正気でいられません笑 (2020年5月10日 6時) (レス) id: 646b85d38a (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - chiharuさん» ぎゃー(きゃーを越えた感激を表す)!お久しぶりですー(//∇//)なぎたんも元気でしょうか?少しでも、心の癒しになれるよう、頑張りますねo(^-^)o (2020年4月29日 13時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
chiharu(プロフ) - お久しぶりです、もうあたしじゃないあたしだから嬉しくて…ん〜気になる〜でも無理なさらずにしてください!!!でも待ってます!!! (2020年4月29日 13時) (レス) id: c6dbe2d6b4 (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - 美憂さん» 美憂さん、いつもありがとうございます(≧∀≦)!少々お待ちをーo(^-^)o (2020年4月28日 21時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:◎まる◎ | 作成日時:2020年4月3日 8時