Sweet four seasons〜5

236 ページ36

臣side






たわいもない話を少しだけしていたら…







モゾモゾと…







彼女が居心地悪そうに動き出して…








しかめっ面…。









「…どうした？」


俺の質問に、答えずらそうに少し黙った後…




誤魔化すことは出来ないと思ったのか…





「…噛まれた傷…せっかく治りかけてたのに、今日擦っちゃったから…また瘡蓋になってて…痒くなってきた。」

そう言って、病衣の上からポリポリと掻き始めた。






「…ちょ…掻いたらダメじゃん。」






「分かってるけど痒い…。」






「塗り薬かなんかないの？」





「…ある。」

そう言ってベットサイドの引き出しに腕を伸ばすと、そこから丸い容器に入った薬を取り出した。





「…登坂、カーテンの向こうで待っててくれる？」




「うん。」






立ち上がって…






窓際に立って、ぼーっと外の景色を見ていたら…






パチン…






小さくついていた、ベットサイドのランプが消えた。






「…え？A？」

慌ててカーテンに向かって振り返ると…






「…登坂…お願い…聞いてくれる？」



カーテン越しに聞こえる彼女の弱々しい声。





湧いてくる不安を押し殺しながら、

「…いいよ？何？」

冷静を装って出来るだけ穏やかな声を出す。








…









…









「…背中に…薬塗ってくれる？」





静かな室内に…







彼女の緊張した声が響き渡った。

237→←235

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す