233 ページ33
…
泣いて…
泣いて…
泣いた。
胸に溜まってきたものを一気に吐き出すように泣いた。
そして3人は、私と同じ痛みを感じているように一緒に泣いてくれた。
今の私に必要なのは…
慰めの言葉なんかじゃなくて…
声に出して思い切り泣ける場所だった。
1時間泣き続けて…
やっと涙が枯れ始めた時…
健二郎が2人を部屋から出した。
健二郎の顔を見れば分かる。
私に何か話があるときにする表情。
「…こんな時やけど…こんな時やから、ちゃんと聞け。」
ベットの近くまで丸いパイプ椅子を引きずりながら近づいてきて、そっと私の手を握った健二郎は命令形の言葉とは裏腹に優しく微笑んだ。
無言で頷く私を見た健二郎はもっと優しい笑顔になる。
「……A。ええか、お前のことやから“これはあのときのバチが当たった。”とか“やっぱり私には幸せになる資格なんてない。”とか思ってるやろ?でも、これとそれとは全然違うからな。お前に起きたことと、雪乃さんに起きたことは別やから。一つだけ、同じなんは100%、犯人が悪いっちゅうことや。だから…そんな考えは今すぐ捨てろ。そんな風に思うんは雪乃さんにも失礼や。」
そう言って…
健二郎は、私の頭をよしよしするように撫でた。
止まっていた涙がまた溢れた。
さっきと違うのは、心の暖かさ。
健二郎には全てお見通しだ。
986人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
◎まる◎(プロフ) - mayukaさん» ◎まる◎もくっついたおでこから爆発すると思いますー(//∇//)いや、巻き込むからやめておこう…。今日からシーズン7に入ります。ゆっくりで良いのでお付き合いくださいね。 (2020年5月10日 6時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
mayuka(プロフ) - 一歩進みましたね!主人公ちゃん。オオカミワンコもワンコオオカミもどちらもまたキュンキュンする仕草が多くて…私がされたら心臓もたないシチュエーションばかりー(〃ω〃)おでこコツンとか、正気でいられません笑 (2020年5月10日 6時) (レス) id: 646b85d38a (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - chiharuさん» ぎゃー(きゃーを越えた感激を表す)!お久しぶりですー(//∇//)なぎたんも元気でしょうか?少しでも、心の癒しになれるよう、頑張りますねo(^-^)o (2020年4月29日 13時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
chiharu(プロフ) - お久しぶりです、もうあたしじゃないあたしだから嬉しくて…ん〜気になる〜でも無理なさらずにしてください!!!でも待ってます!!! (2020年4月29日 13時) (レス) id: c6dbe2d6b4 (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - 美憂さん» 美憂さん、いつもありがとうございます(≧∀≦)!少々お待ちをーo(^-^)o (2020年4月28日 21時) (レス) id: 3781d568eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:◎まる◎ | 作成日時:2020年4月3日 8時