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直人side
臣とAが2人で話をしているのが気になって仕方なかったけど、おれはメンバーとプールへ向かう。
やっと聞くことができた5年前の出来事。
壮絶な過去…いや、今現在もそれと向き合っている彼女に…俺は何ができるだろう…
そう考えると、出口の見えない迷路に入ったように、気持ちは焦るばかりで答えは見つからない。
守ってもらう立場の俺たちが彼女にできること……
「…直人さん??」
「…え?」
顔を上げると心配そうな直己がいた。
直己「深刻そうでしたけど…大丈夫です?」
「…あー。ごめん。今日のバーベキューの準備のこと考えてたわー。」
直己「…そうですか。」
納得していない顔の直己は、少し黙った後に言った。
「…深く考えないのが一番かもしれないですね。」
「…え?」
直己「俺たちがやれることは限られてると思うので…俺たちが元気で、時々バカやって、それを見て彼女がちょっとでも笑えて、明るい気持ちになれる…それで良いんじゃないんでしょうかね。」
……………
俺が黙って直己を見つめると
「生意気言ってすみません。」
と目を伏せた。
「…いや。サンキュー。なんか、迷路の出口見えた感じ!」
直己の言う通りだ。
やるべき時に、やるべきことは自ずと見えてくるはず。
今できることは…彼女の心が少しでも平穏でいられるように、当たり前じゃない普通の時間を当たり前に過ごすことなのかもしれない。
…それにしても…
「お見通しってやつ?」
聞くと直己は
「何年の付き合いだと思ってるんですか。」とニッコリ笑った。
「臣〜!!」
エリーの視線の先を見ると、話し終えたAと臣の姿。
気にはなるけれど…、
今日はAにバーベキューを楽しんでもらうとしよう。
「直己、ギター用意しといてね。」
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作者名:まる | 作成日時:2018年3月23日 13時