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私の呼ぶ声に…腕の力が一瞬弱まって…私が顔を上げようとすると、また力強く抱き締められる。
「…俺…今ダサいから見ないで…。」
「…直人?」
「…分かってる。自分勝手で情けないことしてるって。」
「………。」
「…もう…遅い?」
「…え?」
「…Aの心の中に…おれが入る場所ない?」
「…何言って……」
「やっぱいい。答えなくていい。ないって言われても、今はまだ諦めらんないから、聞かない。」
そう言うと、私の頭をそっと撫でて……おでこに優しいキスを落とした。
「…みっともない真似してごめんな。」
そう言うと、私を抱き締めていた腕を解いて、くるりと背中を向けて出て行った。
最後まで、彼の顔を見ることはできなかった。
でもね、直人。
きっと、いつものように…
困ったような、切ないような…
それでいて、とっても優しい笑顔で私のおでこにキスしたよね?
何でかな。
分かるんだよ。
1番分からないのは……
私自身のことなのかもしれない…。
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作者名:まる | 作成日時:2018年3月23日 13時