Level S……5 (ページ14)

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翔威side

透さんの話は、きっと、また連続殺人の件かなって思って…Aが過呼吸起こさないか心配で遠くから見てたけど、大丈夫ってジェスチャーしてくれたから、皆と一緒に花火を始めた。

ほどなくして…

俺と同じように、2人の様子を見ていた臣さんと直人さんが……フリーズした。

俺の後ろにいるはずの2人に目線が釘付け…。

何？

さりげなく後ろを見ると…

両手で顔を覆う透さんを抱きしめているA。

あぁ…。

そりゃ、固まるな…。

俺が苦笑いで2人の服を引っ張ると、我に返った様子。

臣「気にしてたら…キリないのはわかってんだよ。」

同じく苦笑いの臣さん。

直人「俺たちには…簡単には入れない絆が…あの2人にはあるからね…。」

寂しそうな直人さん。

「…そうだね…。Aが1度だけ言ってた。“透の一言で5年前、まだ死ねないって思った。”って。」

「…それ、すごい一言だね。」

臣さんは参ったなって呟いて打ち上がっている花火を見上げた。

「なんて言葉かは分からないけど、この5年間、依頼人の為以外でAが無茶したり、自暴自棄にならなかったのは、透さんの一言のおかげなんだと思う。」

直人「…そっかーーーー。じゃあ、俺は透さんに感謝しなきゃなんないんだなー。Aが生きててくれたから、こうして出会えたんだから。」

自分を納得させるように言った直人さんに、臣さんは「そしたら、俺もですね。」って微笑んだ。

「…じゃあ、俺もだ。俺なんて、Aがいなかったら、そもそもこの世にいなかったかもな。」

絶望で真っ暗な中にいたあの数年を思い出す。

Aがその暗闇を照らしてくれた、唯一の光だった。

臣さんが俺の頭をクシャクシャって撫でた。

直人さんはそれを見て優しい笑顔で
「んじゃ、皆で透さんに感謝だ。」と言った。

「うん。でもね、出会った日や重ねた時間はそれぞれ違っても、Aに対する想いの大きさは皆同じだと思うよ。Aにもそれは伝わってるんじゃないかな？」

俺の言葉に、2人は一瞬黙った後…
「「お前に会えたことも俺は感謝してるよ。」」

って、仲良くハモって言ってくれて…

胸のあたりがあったかくなった。