025 ページ25
臣side
「…何の用事だ？…まだ言い足りないのか？」
ベットに横になったまま、一瞬だけこっちを見た彼女は、すぐに目を瞑って静かにそう言った。
「……すみませんでした。」
俺の一言に、薄っすらを目を開いた彼女は再びこちらを見つめた。
「…謝る必要はないだろう。お前は仲間を想っただけだ。……ただ、今はパニックになることが一番危険だ。…難しいだろうが冷静になれ。」
相変わらず、偉そうな口調だけれど、身体を張って直人さんを守ってくれていると知ってから、さっきまでのような不快感はなかった。
静かに彼女のベットサイドに歩いて行き、近くの椅子に腰をかけると、彼女は少し驚いたように目を見開いた。
「…用事は済んだだろう？」
不思議そうに聞く彼女が、出会ってからの数時間で一番人間らしくて少し笑ってしまう。
「…檀さんに、自分達が戻るまで動かないように見張ってろって言われました。」
「あいつは…余計なことしかしないな。」
呆れたように言った後に…ふっと一瞬だけ笑った彼女…
こんな風に笑うこともあるんだと、思わず凝視してしまう。
「…なんだ？」
「…いや…何も…。」
静まり返る室内で、話す話題もなく居心地悪く椅子に座り直していると…
「他の者達はどうした？」
思いがけなく、彼女の方が声をかけてきた。
「あ…３人は、食事も睡眠も取れてなくて消耗状態だから数日入院になって…。」
「…そうか。…その方が助かるな。守る時に…便利だ。お前の他の仲間は？」
「…HIROさんは帰りました。メンバーは…会議室にそのまま。直人さんが起きたらすぐ会いたいからって。」
俺の返答に、神代Aは、ほんの一瞬、表情を緩めた。
「…良い仲間だな。」
「え？」
「…何をそんなに驚く…」
「…え…いや、人のこと褒めるんだなと思って…」
俺の言葉に、神代Aは呆れたようにため息をついて言った。
「お前、本当に失礼な男だな。」
…いや、それ、俺のセリフ…
…とは言えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 527人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
◎まる◎(プロフ) - みきさん» はじめまして(≧∀≦)嬉しいです！いつもと違う感じの関係性を書きたかったので(//∇//)恋愛モードに入っていく過程も今後楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2019年8月10日 20時) (
レス) id: d297b5115d (このIDを非表示/違反報告)
みき - はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いてます。いつもと違うメンバーの主人公への反応の仕方、ツッコミが楽しくて楽しくて(^^)素敵な時間をありがとうございます。 (2019年8月10日 18時) (携帯から) (レス) id: 28e8727e1e (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - あややんさん» お待ちしておりましたー(^-^)/怖い、ありがとうございますー(≧∀≦)◎まる◎は実は怖いの大好きです…でも、case1は控えめにいきたいと思います…。今後もよろしくお願いします！ (2019年8月7日 20時) (レス) id: d297b5115d (このIDを非表示/違反報告)
あややん - っっはっ！コワイっ！やっぱり、まるさんは表現力がほんとに凄いですね！！めちゃめちゃどういう状況かを想像してしまった…。あーー、 3人はどうなったんだろう…続き楽しみにしてます！ (2019年8月7日 20時) (レス) id: f0ecbe2c49 (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - tckntさん» またまた「怖い」頂きましたー(≧∀≦)！皆様の想像力に感謝しかありません(T-T)続きもよろしくお願いします！ (2019年8月7日 17時) (レス) id: d297b5115d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：◎まる◎
| 作成日時：2019年7月21日 6時
