君を想う〜最終章

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臣side





キーホルダーは、初めてのデートの日に、俺があげたものと色違いのものだった。





そっと…






呼吸を整えた後に…






手紙を開く。







『 H.T様

今、私は、これを書きながら、強く神様に祈っています。

どうか、この手紙をあなたの元へ届けて下さいと。

その反面…

この手紙が届くことなく、あなたが自分勝手な私を嫌いになって、早く忘れてくれますように…

…そう願っている自分もいます。


…バカなことをしたと、あなたはきっと怒って…いえ…失望していることでしょう。


そんなことは、誰も望まなかったと。


でも、私が出した結論はこれでした。


結果的に…あなたの側にいることができなくなったとしても…


あなたや、あなたの大切な仲間が、今以上に輝くことができる、それが私の願いであり、生きる希望です。


もし、私がこのままあなたの隣にいたら…


あなたは、私を見る度に、このことを思い出して、自分を責めるでしょう。


そして私は、そんなあなたを見る度に、あなたを傷つけている自分がただただ許せないと思うのです。


あなたには、いつも笑っていて欲しい。


そして…私も、もう、自分を許せない人生から抜け出したいのです。


だから…愛しているけれど


…愛しているから


お別れです。


どうか…“また同じだ”と思わないで下さい。


立ち止まらないで下さい。


この別れは、私の為なんだと、前を向いて進んで下さい。


あなたの前を向く姿を見ることで、私も前に進むことができます。


あなたの幸せな未来を


この先ずっと願っています。


大好きだよ。


沢山の想いをありがとう。』




両手に手紙を持ったまま…


やり切れない思いと一緒に…何度もそれを額にぶつけた。


俺が見つけられなかった時の事を考えて…


差出人の名前さえ書かなかった彼女の…


最後の想いを感じながら…。

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