君を想う〜第2章…1

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岩side





石田の様子に不安になりながら…




「…お前の上司って……あの若さで？」

小声で聞くと、

我に返ったように俺を見た石田は

「あの人、すげー優秀だよ。異例の大抜擢で課長職。なのに全然そんなの鼻にかけないですごい優しくてさ、皆からすげー慕われてたんだ。」

嬉しそうに遠くの彼女を見つめた石田は


「お前の会社でも管理職かなんかやってるんだろ？」

当たり前のようにそう聞いて来た。






「え？いや、普通の一般事務だよ？確かに仕事はできるけど。」



「は？嘘だろ。なんだ、宝の持ち腐れ…。」



「そんなすごい人だったなんて今知ってこっちも驚いてるし。」



「だよな……前の話、したくないだろうし…。」



「…え？」



「いや、何でもない。あのさ、市野辺さんに俺に会ったこと絶対に言わないで。きっと知られたくないと思うから。いい？絶対だぞ。」


慌てたようにそう言った石田は、そのまま元来た道を戻って言って





「…またな、岩田！頑張れよ！約束守ってよ！」




ニコニコしながら手を振った。









…









「…本当に言わなくていいのかな？」

不安そうに聞いて来たエリーに



「…あそこまで言われたら言えないよね…」

俺も不安を感じながらそう答えた。



「…そんなに優秀だったのに…何で辞めたんだろ…。」




「…そう言えば…前に直人さん、前の職場で色々あったって言ってたよね。」





「…それに…すごく好きだった人とも別れちゃったって言ってたよね…」




「「………………………」」



触れてはいけない彼女の過去に、自分の意と反して触れそうになったことに戸惑いながら…





俺たちを見つけて手を振る彼女に





笑顔を作って手を振り返した。









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『蒼さん、市野辺さん、見つけました。』

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