君を想う〜第1章…3

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…








電話で、何かあったのかと聞いた時、彼は答えなかった。







きっと、今聞いても、彼の反応は同じだろう。






…だけど…






…1人でいたくないと思った時に、私に連絡をくれた。






…話したくなかったら話さなくていい。






…だからと言って私はあなたを1人にはしないから。







「…寒い？」

こっちを見ようとしない彼の隣に腰掛けて、そっと右手で彼の左頬を包んだ。




手の平に感じたのは氷のように冷たい感触。






「……………いつから…ここに？」







私の質問に、やっぱり登坂さんは答えてはくれなくて、ふふっと笑った後に自分の左手を私の手の上に重ねた。








「…市野辺さんの手、あったかい。」








幸せそうにそう微笑む彼に胸が苦しくなる。







「大丈夫。登坂さん。気持ちが落ち着くまで、私もここにいますよ？」

事情も知らないくせに、そう言った私を…








登坂さんは驚いたような顔で見つめた後、今にも泣き出しそうな顔のくせに無理やり笑って…









私の膝の上にあるコートを取ると

「風邪引かせたら直人さんと燈護さんに怒られちゃう…」

そう言って、コートを開いて私の肩にかけた。






「それは私のセリフです。登坂さんが風邪ひいちゃったら、直人や燈護に怒られるし、薫さんに迷惑かけちゃう。」





そう言い返すと、
「直人さんはともかく、燈護さんと薫さんはまずいなぁ。」

彼はわざと困った顔を作って少しおどけた後…




足元を見つめて…独り言のように私に聞いた。









「…正直に、思っていることをそのまま伝えているつもりなのに、どうして捻じ曲がって伝わっていくんだろう…。」

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