君を想う〜第1章…1

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隆二side




遠くにいた市野辺さんがふいに岩ちゃんの隣に来た。






メンバー全員が急な出来事に驚いて2人に注目する。






俺も…






そして、臣も…






市野辺さんの方に体を向けている岩ちゃんの背中をじっと見つめていた。





ざわつく店内で、2人の会話は全く聞こえてこない。






ってか…






岩ちゃんの背中越しに見える市野辺さんは…今にも眠っちゃいそうで…







会話をしている様子がない。







「あー…昨日、俺の話に付き合わせちゃって…寝不足だから…そこに酒はきつかったかも…」
背後から聞こえた臣の声。






「…だいぶ遅かったんだ？」





なんとなく、目を合わせずに聞いたら…





「あー…結局、泊まっていったから。」









…あーそうなんだ…









って…









「え！？」





サラッと言った臣の顔を思わず凝視。






俺の反応に逆に驚いた臣は

「…あ！違うから！本当に喋ってただけで何もねーし！ただ、早く会社に馴染めると良いですねって話を……あ……。」


慌てて説明し始めたかと思うと…




俺の背中の向こう側をぽかんと見つめて指をさした。




「…え？何？」





ゆっくりと振り向いた俺の目に映ったのは…









市野辺さんの耳元に口を近づけている岩ちゃん。









…キス…する！？








思わず止めようと腕を伸ばした時、岩ちゃんの顔は彼女から離れて…









彼女の寝顔を優しく見つめた岩ちゃんは…









…









…









久しぶりに見る、男の顔だった。

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