君を想う〜第1章…1

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臣side






「…それって…前の会社の…





更に話を聞こうとした俺の言葉を…







「…はい。準備できました。一緒にご飯、食べますよ？」



市野辺さんは遮った。




「…あの…。」




「…登坂さん…この話は、もうおしまいです。話したくありません。」



はっきりとそう言われて、言葉を返せずにいると…




「いただきます。」


彼女は両手を合わせてそう言って、先にご飯を口にした。





「…いただきます。………うまっ。」



つられて食べ始めた俺の口の中に広がるだしの風味。




「良かったです。…和食、お口に合わないかと思った。」

そう優しく微笑んで俺を見ている彼女。


きっと、笑っているのは無意識なんだろう。


彼女は元々はこうやってよく笑う人だったに違いない。








「和食、めっちゃ好きですよ。






…市野辺さん、もう昔のことは聞きません。






…ただ…この半年間で分かったんじゃないですか？





うちの会社は、市野辺さんが前にいた会社とは違うって。





スタッフもメンバーも、皆あなたとお友達になりたいんです。




すぐに打ち解けろとは言いませんけど、皆良い奴らなのは俺が保証しますから




だから、ちょっとずつでいい、皆と仲良くしてやって下さい。




万が一、嫌な思いをするようなことがあれば、皆を信じろと言った俺が責任持って全力で守ります。」









…俺は、なんでここまで言って彼女に会社に馴染んでもらいたいんだろう？









…昨日まではずっと苦手で…まともに話をしたのは一晩だけなのに。









向かいの彼女をじっと見つめると、その瞳が戸惑いで揺れた。









「…直人と…燈護も同じこと言ってました。」







「じゃあ、これで3人味方じゃん！しかも結構強めの味方だと思うけど？」





きんぴらを口に入れながら彼女に笑いかけると…









…









…









突然箸を置いた彼女は…









「……登坂さん、…私……私の笑顔は…人を幸せにしないんです。




そうやって言ってくれる方を、私は不幸にしたくなくて。」






困ったように微笑んだ。

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