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臣side
「…お前の強がりは大体見破れてたんだけどな…今回はしてやられたな…。」
俺に肩を貸しながら燈護さんがため息をついた。
「…すみません。…折角ファイナル迎えて盛り上がってるのに水差すようなことしたくなくって…」
「…ったく、お前らメンバー全員がそうやって自分よりも周り優先にするからこっちは困るんだっつーの。」
「…すみません…。」
「…ま、いいわ。もうこれからはそう簡単に騙せないからな。こういうことを無くすように市野辺をお前らの担当にしてもらったんだし。」
「…市野辺さんって…何者ですか?…彼女にバレなきゃ完全犯罪だったのに。」
痛みは超えて感覚がなくなり始めた右足をもう隠す必要がなくなったことに安堵して、そう冗談を言って引きづりながらエレベーターから降りると…
ロビーの柱に寄りかかって立っている市野辺さんの姿。
「何者って、普通の人間だよ。ただ、他の人より……………ちょーっとばかり人が弱ってたり困ってたりするのを感じ取るセンサーが敏感…って奴かもな。………A!俺、上に戻らなくちゃなんなくて。この後頼めるか?」
燈護さんの声に、無表情で顔を上げた市野辺さんは「任せて」と言って俺の隣に立つと、すっと俺の脇の下に潜り込んで、腰を支えるように手を添えた。
「…すみません…。」
俺よりかなり華奢な彼女に支えてもらっていることに恥ずかしさを感じながら用意された車へ…。
「「…………………………」」
車内は気まずい沈黙…
…俺…
…実はこの人苦手なんだよなぁ…
…多分、彼女も俺のことをあまり好きじゃない…
…元々人と距離を置いてる人だけど、俺に関しては他の人の倍距離を置かれているのを感じる…。
…早く着いて欲しい…
ため息をついて、窓の外を眺めた時だった。
「…すみません。…私じゃない方が良かったですね。」
驚いて、一人分空いた隣の席を見つめると、市野辺さんが少しだけ困った顔でこちらを見ていた。
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瑞穂(プロフ) - 久しぶりに、来てみたら、大好きなまるさんの作品に鍵がかかっていて、読めず残念です。どの作品も、大好きです。君想うは、鍵がかかっていなかったので、久しぶり読ませて頂きました!やはり素晴らしいです。また、読みに来ます! (2020年8月6日 1時) (レス) id: 800035175b (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - ◎まる◎さん» 私は長編で描写を細かく書いたり話に深みを出せる作者様が羨ましいです♪嬉しいってお言葉ありがとうございます!お互い頑張りましょう(*´ω`*) (2019年5月20日 15時) (レス) id: 8892e5e17b (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - 薫さん» 私は短編できちんと話を完結できる書き手さんが羨ましいですー(≧∀≦)!作品拝見してドキドキしてますー(//∇//)今は長編執筆中なんですね!頑張って下さいね(^-^) (2019年5月19日 21時) (レス) id: da4fc601b2 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - ◎まる◎さん» 返信ありがとうございます!本当に面白いです。長いお話をかけるのも凄いなと思います!表現力ありありですよ!作者様の優しい気持ちになれる表現好きです。読んでくださるんですが!?拙すぎて恥ずかしいです(笑)更新頑張ってください! (2019年5月19日 20時) (レス) id: 8892e5e17b (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - _noさん» おはようございます(≧∀≦)一気読み…すごい!長い話だから大変でしたよね(>_<)書くたびに話が長くなっていく…。今後も頑張るのでよろしくお願いします! (2019年5月19日 4時) (レス) id: da4fc601b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2019年3月9日 13時