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…
「…あれ?Aじゃん。まだ残ってんの?」
フロアの出入口から聞こえた声にPCから目を外す。
「…見ての通り。」
画面の見過ぎで疲れてきた目にしっかりしろと言い聞かせるようにぎゅっと眉間を摘んでいると…
「…俺もいるけどな。」
出入口からは死角で見えない私の斜め前方の席から響いた声に、彼は少し驚いてから苦笑いした。
「何?燈護(とうご)もいたんだ?」
出入口付近にいたと思っていた彼は、いつの間にか私の背後まで来ていて、
燈護に“お疲れ”って片手を軽く挙げた後、私の向かいのディスクに腰掛けると「打ち上げ行かねーの?」頬杖を突いてこっちを見て来た。
「…んー…行けたら後で燈護と行く。ってか、主役が遅刻していいの?直人?」
時計と向かいの席の直人を見比べてそう言うと…
「俺もお仕事だったから仕方ないっしょー。」
そう言いながら、椅子をくるくるさせて急ぐ気配はなし。
「…ちょっとー、誰かに見られたら後で怒られるの私らなんだからさっさと行きなさいよ。」
しっしっと片手で追い払うようにしてからPCに視線を戻すと…
座っている椅子をすーっと滑らせながら私の隣まで来た直人は
「…臣も来てんのに、行かなくていいの?」
ニヤッとしながら耳元で呟いた。
不意打ちできた“臣”と言うワードに、カァーッと頰が熱くなるのを感じて…
“バカじゃないの?”
燈護に気づかれないように直人を睨みつけた。
「こーわっ!んじゃ、燈護、俺先に行くけど、早く終わらせてA連れて会場来いよ?」
「分かってるからさっさと行け。」
PCから視線を外さずに答えた燈護を見て…
「…本当、お前ら冷たいなぁ。俺は寂しいよ…。」
泣き真似をしながら直人はフロアから出て行った。
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瑞穂(プロフ) - 久しぶりに、来てみたら、大好きなまるさんの作品に鍵がかかっていて、読めず残念です。どの作品も、大好きです。君想うは、鍵がかかっていなかったので、久しぶり読ませて頂きました!やはり素晴らしいです。また、読みに来ます! (2020年8月6日 1時) (レス) id: 800035175b (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - ◎まる◎さん» 私は長編で描写を細かく書いたり話に深みを出せる作者様が羨ましいです♪嬉しいってお言葉ありがとうございます!お互い頑張りましょう(*´ω`*) (2019年5月20日 15時) (レス) id: 8892e5e17b (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - 薫さん» 私は短編できちんと話を完結できる書き手さんが羨ましいですー(≧∀≦)!作品拝見してドキドキしてますー(//∇//)今は長編執筆中なんですね!頑張って下さいね(^-^) (2019年5月19日 21時) (レス) id: da4fc601b2 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - ◎まる◎さん» 返信ありがとうございます!本当に面白いです。長いお話をかけるのも凄いなと思います!表現力ありありですよ!作者様の優しい気持ちになれる表現好きです。読んでくださるんですが!?拙すぎて恥ずかしいです(笑)更新頑張ってください! (2019年5月19日 20時) (レス) id: 8892e5e17b (このIDを非表示/違反報告)
◎まる◎(プロフ) - _noさん» おはようございます(≧∀≦)一気読み…すごい!長い話だから大変でしたよね(>_<)書くたびに話が長くなっていく…。今後も頑張るのでよろしくお願いします! (2019年5月19日 4時) (レス) id: da4fc601b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2019年3月9日 13時