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エリーside
HIROさんが用意してくれた病室は、2部屋つづきの特別室だった。
1つの部屋は咲苺専用にしてもらう。
思い出しては泣き叫び…気絶する…を繰り返した咲苺は今、安定剤を点滴されて眠っている。
臣は…
誰の声掛けにも反応しなかった。
眠ることも、取り乱すこともなく…
ただ、息をしている…
…そんな状態…。
これからどうなるのか…
目の前で眠る咲苺の手をそっと握った…。
…君を…
…君を失わなかったことに感謝している俺を知ったら…
…君は俺を幻滅するんだろうな…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カタン…
いつの間にか眠ってしまっていて…
小さな物音で目を覚ます。
そして…
握っていたはずの手がないことに気付いて驚いて体を起こすと
「……咲……苺?」
開かれた窓。
その窓枠に足をかけている咲苺。
俺の声掛けに、振り向いた咲苺は
泣き笑いの顔で
「…バイバイ、エリー。」
そう言って、ひらりとジャンプした。
驚いて窓の下を覗き込むと、下の階のベランダに飛び降り、更にその下へと身軽に降りていく彼女の姿。
「咲苺!」
もう一度、彼女を呼んだけれど、彼女は振り返ることなく…
地上に降りて走り始めたその先にはワンボックスカー。
開かれたドアの隙間から…
中に乗っている人が目に入った。
「蓮温?」
こちらに気付いたサングラスの蓮温と思われる人物は、口元をニヤリとさせると…
一気にドアを閉めて、車は走り去った。
「…無事だった…。」
ほっと脱力するのと同時に…
伝えたいことがあったのに…君は行ってしまったんだね…
心にぽっかりと穴が空いた。
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◎まる◎(プロフ) - nonさん» ありがとうございますー!番外編の感想頂けてとても嬉しいです。以前にも書いたことがありますが、私が思っていた以上にLevel Sを喜んで頂いた声が多くて嬉しい悲鳴です!今後も喜んで頂けるような作品作りに励みます! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 1dba7527db (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - こんばんは。私はLevel Sの様なストーリー好きです。メインも素敵でしたが、隆二くんと夜優ちゃんの番外編がかっこよかったです。まるさんのストーリーはワクワクドキドキそしてきゅんもあるのでとても楽しみです。またこう言うストーリーをお願いしたいです。 (2019年1月9日 18時) (レス) id: 8206495f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2019年1月8日 4時