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臣side
シーツに包んだAを抱きしめた咲苺は、俺達を振り返り、
静かに、首を横に振った。
“何も言わずにここから立ち去って”
咲苺の瞳はそう訴えているのに…
動けない俺達。
エリーが悔しそうに顔をくしゃくしゃにして涙で頬を濡らしながら、俺の腕を引いた。
引っ張られながら部屋から出された俺と
同じように、優雨とエリーが岩ちゃんと隆二も部屋から引っ張り出す。
蓮温はふらつく足取りで、片手で頭を抱えながら出てきて…
廊下の壁にずりずりと寄りかかるように座り込むと…
「…何でだよ……何でだよ!!」
何度も何度も拳を床に打ち付けて、蓮温の手は血で染まり始めていた。
…
俺は…
車から降りる瞬間のAの不安げな顔を思い出していた。
…行かせなければ良かった…。
…あの時、強引でも彼女の手を引いて車に戻して…
一緒に事務所に戻っていれば…
…彼女は、今頃皆に囲まれて笑っていたはずなのに。
扉が開いたままの部屋の向こうからは…
物音1つしなかつた…。
彼女は今回も…
決して誰かに涙を見せるつもりはないのだと…
…
無力感に打ちのめされた。
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◎まる◎(プロフ) - nonさん» ありがとうございますー!番外編の感想頂けてとても嬉しいです。以前にも書いたことがありますが、私が思っていた以上にLevel Sを喜んで頂いた声が多くて嬉しい悲鳴です!今後も喜んで頂けるような作品作りに励みます! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 1dba7527db (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - こんばんは。私はLevel Sの様なストーリー好きです。メインも素敵でしたが、隆二くんと夜優ちゃんの番外編がかっこよかったです。まるさんのストーリーはワクワクドキドキそしてきゅんもあるのでとても楽しみです。またこう言うストーリーをお願いしたいです。 (2019年1月9日 18時) (レス) id: 8206495f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2019年1月8日 4時