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臣side
「優雨、知ってること、全部教えて。」
俺は前方を走っている優雨に声をかけた。
ロンドンで久遠の話題になった時、苦しげに何か言いたそうにしていた優雨。
ずっと気になっていたあの表情。
振り向いた優雨は……
覚悟を決めたように頷いた。
「…ずっと…黙っていたことがある。
久遠に口止めされてたから。
…久遠は…
…Aを守る為に、神谷に付いた。」
廊下の突き当たりのドアの前に着いて全員が立ち停まる。
「…どういうことだよ、優雨??」
蓮温が険しい顔で優雨に詰め寄った。
Aはこちらに背を向けて…恐らく話に耳を傾けながら、ロックがかかったドアを開けようとパスワードをでたらめに入力していた。
「…5年前の…久遠とAの最後の夜…俺はマンション前で久遠を待ち伏せしていた。…現れた久遠に、なんでこんなことしたのか…話すまで絶対に通さないって立ちふさがった。
…殴り合いになったけど…俺がしがみ付いて離さなかったら…Aを守る為に誰にも言わないと言う約束で話してくれたんだ…。
…
神谷は、何年もかけて綿密に復讐を計画していた。
久遠が気付いた時には、実際にはもう打つ手はなかったんだ…。
神谷は…
…Aをスポンサー専属の娼婦にしようとしていて…
…すでに何人もの買い手が決まっていた。
久遠は…会社と会長は救えなくとも…
せめてAだけは守りたかった。
…だから、神谷に持ちかけたんだ。
『あいつらが1番信頼している俺に裏切られるシナリオの方が復讐にもってこいでしょう?』って。
今の話なら、神谷もそんな久遠の気持ちを知っていて…
…どっかで良心があったんだろうな…
…その提案を受け入れた。
久遠は…
Aの身体が見ず知らずの何人もの汚い男に触れられることより…
…自分が殺したいほど憎まれる方がまだマシだ、そう言った。
久遠は……最初から……俺たちを裏切ってなんかいない。」
「久遠!」
Aの叫び声に振り返ると…
ロックがかかった防弾ガラスの入ったドア越しに久遠が立っていた。
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◎まる◎(プロフ) - nonさん» ありがとうございますー!番外編の感想頂けてとても嬉しいです。以前にも書いたことがありますが、私が思っていた以上にLevel Sを喜んで頂いた声が多くて嬉しい悲鳴です!今後も喜んで頂けるような作品作りに励みます! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 1dba7527db (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - こんばんは。私はLevel Sの様なストーリー好きです。メインも素敵でしたが、隆二くんと夜優ちゃんの番外編がかっこよかったです。まるさんのストーリーはワクワクドキドキそしてきゅんもあるのでとても楽しみです。またこう言うストーリーをお願いしたいです。 (2019年1月9日 18時) (レス) id: 8206495f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2019年1月8日 4時