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臣side
「…康介おじちゃん、拳銃を私にちょうだい。私…今なら分かる。お父様の気持ちが。お父様は康介おじちゃんを恨んでいなかった。…康介おじちゃんを最後に救えなかった自分が悔しかったと思う…。私……沢山の愛をもらって分かったの。…復讐は誰も救われない…それを願った自分自身さえも。私…愛をもらって、許すことを知った。…だから、康介おじちゃんに愛を伝えられなかった自分が悔しかったと思う。」
俺を見つめて微笑み、その後、他のメンバーにも笑顔を向けたAは、神谷に真っ直ぐに自分の思いを伝えた。
そんなAを見て、神谷はまるで父親のように優しい笑みを浮かべて言った。
「…そうやって呼ばれるのは、何年振りかな、Aちゃん。……あいつは、十分に俺に情愛を教えてくれたよ……俺が変わってしまったんだ……いつの間にか……俺も、親父にそっくりなクソになってたなぁ。……Aちゃんは琴平にそっくりな……正義の味方だ。」
神谷は残ったワインを飲み干すと、真っ直ぐにAを見た。
「……おじちゃんに、最期くらい格好つけさせてくれないか。自分で蒔いた種は自分で刈らないとな。最期のワガママ、許してくれ。
…久遠は…
…反対側の棟にいる。
…あいつは本当に真面目な男だよ。
…私のことを殺したいくらい憎んでいるはずなのに…
…きっちり仕事をしてくれた。
…自分では制御不能に陥った私を力ずくで止めてくれた…。
この件に関しては、私1人がやったことだ。久遠は一切無関係。ちゃんとそう記したものを残してあるから、心配しなくていい。
…久遠の所へ早く行ってやれ。
あいつは、こんなクソみたいな俺にまで義理立てして、一緒にここに残るつもりだ。
Aちゃん、この工場は、建てた時に自爆装置をつけている。
ついさっき、スイッチを入れた。
解除は不可能だ。
最初の爆発は15分後、それから5分おきに順に崩れ出す。
急ぐんだ。」
2人はしばらく見つめ合い…
Aは神谷に背を向けて、俺たちに「行きましょう。」そう声をかけて歩き始めた。
「え?ちょ……神谷は?」
動揺する健ちゃんに、“健二郎…行くぞ。”直人さんが首を横に振って腕を引いた。
…
…
振り返ることなく、無言で走り出した俺たちの耳に…
…
…
背後から、1発の銃声が響いた。
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◎まる◎(プロフ) - nonさん» ありがとうございますー!番外編の感想頂けてとても嬉しいです。以前にも書いたことがありますが、私が思っていた以上にLevel Sを喜んで頂いた声が多くて嬉しい悲鳴です!今後も喜んで頂けるような作品作りに励みます! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 1dba7527db (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - こんばんは。私はLevel Sの様なストーリー好きです。メインも素敵でしたが、隆二くんと夜優ちゃんの番外編がかっこよかったです。まるさんのストーリーはワクワクドキドキそしてきゅんもあるのでとても楽しみです。またこう言うストーリーをお願いしたいです。 (2019年1月9日 18時) (レス) id: 8206495f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2019年1月8日 4時