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臣side
咲苺の前に座る岩ちゃんが完全に固まった。
聞いてはいけないことを聞いてしまった、そんな顔。
俺も飲み比べていた蓮温の顔を見つめて…言葉を失っていた。
「…咲苺、困らせるようなこと、いきなり言わないの。」
沈黙を破ったのは優雨。
「…あ、そっか。これ、気を使わせちゃう系の話?」
うっかりしてた、みたいに明るい咲苺を顎で指して
「あんな感じの程度の話なの、俺らにしたら。だからそんな気ぃ使って貰わなくていいから。使われた方が疲れるし…んー…お代わり。」
ひたすら日本酒を飲み続けている蓮温は顔色ひとつ変わらない。
「…続きを…聞いてもいい?」
岩ちゃんの真剣な顔。
「全然OKだよ。A様の話以外なら何でも話すよ?」
咲苺はそう言ってにっこりした後…
「…でも、そんな楽しい話でもないけどね。」
一言付け加えた。
「…孤児院から…どうやってAの所へ?」
岩ちゃんの次の質問に…
「…誰かに話すの初めてかも!」
咲苺は眠っているAを愛おしそうに見つめた後…
静かに口を開いた。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時