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臣side
「…え?ボディガード?」
「そうそう。どうしても調理人になりたくて、6年前に我が儘言って辞めさせてもらったんだ。この店出す時も、助けてもらっちゃって。」
…6年前…
クーデターの1年前だ…。
「…Aのお父さんって…」
俺と目を合わせた隆二が…核心に触れそうになった時…
Aが戻ってきた。
全員が一瞬黙り込んだのは…
彼女の表情が険しかったから。
「蓮温、優雨が代わってくれって。」
スマホを蓮温に渡すと、部屋から出て行く蓮温の背中を見つめてから…
「臣、隆二、ごめん。急ぎの仕事が入ったの。後で別の迎えの車が来るから、ゆっくり食べてから帰って。…おじちゃん、また来るね。」
そう大将に頭を下げた。
「おう。次は咲苺も連れて来いな。……じょっちゃん……まだあの仕事……やってんだな?」
「…うん。」
「…そうか……まだ決着ついてなかったか…。」
「…うん。」
「…親父さんは…できるだけAには関わらせたくないって言ってたからな…。早く決着するといいな。…あんま、無理するんじゃねーぞ。」
そう言うと、Aの頭をグシャグシャと撫でて、大将は料理場へと戻っていった。
嬉しそうに俯いた彼女は…
戻ってきた蓮温を見ると、再び険しい顔になって
俺たちに
「またね。」
そう言って出て行った。
次に会える保証など…
本当はなかったのに。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時