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隆二side
連れてこられた中華料理店
『定休日』の札が掛かってて…
「残念。どこ行く?」
そう言って、車に戻ろうとした俺の手を掴んだ蓮温。
「え?」
「いいから。」
蓮温は札なんて見えてないように、ガラッとドアを開けた。
トントントントン …聞こえる包丁の音
「親父さーん!来たよー?」
内側の暖簾を潜るように入った蓮温に
「…おじちゃん!久しぶりー!」
Aが奥の調理場に向かって大きな声を出した。
「おぉ!来たか、じょっちゃん!!」
登場した男の人を見て…
「…でか……」
「…クマ……」
臣と俺の声が重なる。
「おいおい、いきなり本当のこと言う失礼な奴連れて来たなぁ!」
190センチありそうな身長に…
横幅はAが2人並んでもすっぽり隠れそうな巨体。
唖然とする俺達を見て、豪快に笑い出した。
「じょっちゃん来たのはいつ以来だ?」
「…半年前…。お父様の命日の後。」
「そうだった!そうだった!蓮温と優雨はたまに来てるんだよな、別々だけど。優雨なんてつい最近来てったぞ。海外の飯はマズイってこぼしてた。」
「…あ!あの日?Aと肉食べに行った日にラーメン食べるっていなくなったよね?」
思い出した俺の顔を見て、大将は
「そうそう!うちのラーメンが焼肉に負けた日な!!」
そう言って、またがははと笑った後…
腕まくりするふりをして言った。
「さーて、店貸切にする位の有名人連れて来てくれたから、気合い入れて作らんとな!何食べたい?」
…
「え?」
俺と臣が蓮温の顔を見つめる。
「遠くまで付き合わせたから、気兼ねなく二人に食事させたいって、うちの姫さんが。」
蓮温は大将と嬉しそうに話すAを見て言った。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時