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思いついたら仕事をしにやってくる私が
こんな夜中に来るのは警備員さんには日常のことで…
「お疲れです。」
ごく自然に挨拶を交わした後…
少しだけ驚いたような顔をして
「今日はまた…大人数ですね。」
優しく笑った。
「…酔っ払い達が会社見学ですって…」
I.D.カードを提示して、外の自販で買ったカフェオレを渡す。
「いつもすみません。」
「ごめんなさい。来ると思ってなかったから、おやつはないの。」
私の冗談交じりの言葉に白髪混じりの警備員さんはははっと笑って
「琴平さんの差し入れはこっちが恐縮しちゃうようなものばっかりだから、たまに忘れてもらった方が気楽だよ。」
そう言って、ロックを解除してくれる。
「うーわ!広い!!」
「オープンスペース??一人一人のディスクはないの?」
「部署ごとに階が違うんだ??」
矢継ぎ早に飛び交う質問。
「1人1台ノートパソコンを持たせてて、その日の気分で好きなスペースで仕事してもらってる。」
フロア毎の作りはそう変わらないけれど、階毎にメインカラーを変えるようにしたオフィス。
真ん中の階には、図書コーナーと喫茶コーナー、休憩所を作って、壁一面の大きな水槽には熱帯魚が泳いでいる。
「…すげー…水族館みたい…。」
直人が感嘆の声をあげた。
「疲れた時の癒やしが必要でしょ?」
「Aの部屋は?最上階??」
隆二の質問に
「勿論!最上階のワンフロア全部だもんね!」
何故か咲苺が答える。
酔っ払い達が向かうのは、勿論最上階。
私は、咲苺と一緒に喫茶コーナーに入って一人一人の飲み物を用意してから向かうことにした。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時