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「しっかし、あれは最高だったよなぁ。」
「本当に。ずーっとツンって感じのお高いお嬢様モードだったのにさ!最後それ!?って思った。」
顔色は全く変わらないけれど、蓮温と優雨が珍しく酔っ払ってる…それが分かる口調。
こんなに楽しそうにお酒を飲んでいる蓮温と優雨を見るのは…
何年ぶりだろう。
「…だってムカついてたんだもん。最後は絶対にそうしようってそれだけは決めてた。」
私がふくれっ面で答えると…
隣に座ってた隆二が
「…天下の琴平グループのお嬢様が、最後にいじめっ子をグーパンチで殴るって?」
あははって楽しそうに私の顔を覗き込んだ。
「でも、それも格好良かったんだよー?“これで全部無しにしてあげる。あなた方もちゃんとした愛情をもらえたらきっと変われる。”って、9歳でそんなこと言える?って決め台詞付きだったんだからぁー!」
咲苺がルームミラー越しにこっちを見た。
「…そこまで言わないで…よく覚えてるな、本当に…。」
恥ずかしくなって両手で顔を覆うと…
「咲苺達にとって、Aが絶対的存在の理由が分かったよ。……ますます好きになった。」
私の耳元で、私だけに聞こえる声が響いて…
隆二とは反対側から大きな手で頭をポンポンされて…
熱を持った頰を隠すのに、覆った両手を外せずにいると…
「臣さん、どさくさに紛れて触らなーい。」
剛典の声と同時に手が離れた感触。
酔っ払ってる彼等は、帰りの車中で甘々モード全開。
私を甘やかそうとする人から
私に甘えて来ようとする人まで。
「はい、着いたよー?」
咲苺の声と共に、顔を上げると…
「は?」
私の裏返った“は?”が響いた。
到着したのは…
「なんでうちのビル?」
「皆が見たいってよ。こんな遅い時間だと誰もいないから、良いだろ?会社見学。」
助手席の蓮温がご機嫌で真っ先に降りて、後に続いて降りるメンバー。
「…A……おいで?」
隆二が私に片手を差し出して、甘い声で車から降りるように誘ってくる。
…
酔っ払い達の相手は…
…
…心臓に悪い。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時