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岩side
「…ねぇ、どうして口がきけないフリをしたの?」
エリーの質問に
「ん?おじいさまからの指示。“お前はこまっしゃくれてるから、口を開いたらそこらの普通の子供じゃないってすぐにバレるから、喋るな。”って。」
失礼しちゃうよね?そう言いながら、頼んだウーロン茶に口をつけるAは…少し考え込んだ後に続けた。
「…でも、そうして良かった。人を、そういうことで判断して差別する人間がいるんだっていうことを知ることができた。…今から思えば、おじいさまの本当の狙いはそこだったと思う。」
たった9歳の少女に身をもってそれを教えたAの祖父と、それに応えたA…
この一族は何から何まで格が違うと思い知らされる。
「なんで、その孤児院だったの?」
今度は俺がした質問に…
ふっと悲しそうに微笑んだ彼女は…
「…おじいさまは…深刻な病気になった。余命を知った時…“最後は自分の周りを掃除しないといけないなぁ…”そう呟いた。あの孤児院の噂は聞いていたから…あそこが最初の掃除先だった。父は私を巻き込むことに大反対だったけれど、私はおじいさまが生きているうちに、教えてもらえる全てのことを学びたかった。だから、おじいさまから“手伝ってくれるか?”と聞かれた時、すぐに首を縦に振った。
…
…行ってよかった。
…咲苺や蓮温や優雨に出会えたから。」
最後は照れ臭そうにそう言って、ウーロン茶を一気に飲んだA。
蓮温達が…
本当に嬉しそうに微笑んだ。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時