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咲苺side
頭が真っ白になる
そんな経験はこの時が初めてだった。
蓮温達も呆然と立ち尽くしている。
そんな私達に気づいた彼女は…
優しく微笑んだ後…
膝を立て、車椅子の男性を敬うようにかしずくと…
『おじいさま……これが……この格好がこの施設の全てです。』
静かなトーンで…
…そう
…“話した”
驚く私達をよそに…
彼女は再び立ち上がって青白くなっている理事長へと視線を戻すと…
『…話すことができなくても…
…耳が聞こえなくても…
…身体の一部が動かなかったとしても…
それは『五体満足じゃない』とは言わない。
『五体満足じゃない』のは…
人を敬わず…
…人を愛さず…
…慈愛のかけらもなかった
…人としての大切な誇りを持っていない
あなたのことです。』
そう…
強い瞳で…
言い切った。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時