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蓮温side
綺麗に髪を整えて、
言われた時間の30分前にロビーへと集まって整列する。
これから、数時間、無理やり笑顔を作ってなきゃならないと思うと既にうんざりしていた。
俺達に少し遅れて、咲苺が焦ったように走ってやって来た。
?
眉毛が八の字になって泣きそうな顔の咲苺。
「…どうした?…彼女は?」
「…それが…いないの。ほんの少し離れたらいなくなってて。」
「…ヤバイ。集合の時にいなかったら、後でどんな目に合うか分からないぞ。」
優雨が周辺に目を向けるがそれらしい影はなく…
時間の少し前に理事長の秘書が入って来て…
俺達の数を数え出した。
気づかないでくれ…
絶対に無理なことを祈りながら…
冷や汗を流して目をギュッと瞑っていたら…
最後の1人の前で足はピタっと止まり…
『1人…足りない。』
声のトーンが下がるのが耳に入った。
ゆっくり俺たちを見渡した秘書は、誰がいないかにすぐに気づくと舌打ちして『もう時間がない。後でたっぷりお仕置きしないとな』そう言うと、自分も列に入って並んだ。
程なくして、扉が開いて…
初老の男性と理事長がニコニコしながら入って来た。
毎年数回だけ会う男性が…いつもと違ったのは…
車椅子で、前回に比べて…見てわかる程に痩せていたこと。
『元気だったかい?』
整列している俺達一人一人に声をかけていき…
最後の1人の前に立つと…
『最近、もう1人入ったって聞いていたけど、その子はどこにいるんだい?』
理事長に目を向けた。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年10月23日 20時