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隆二side
その場にいたメンバーはあの日の4人。
他の3人は丁度別のスポンサーのところで談笑しているところだった。
「…被害者?」
岩ちゃんが困惑したように質問を重ねると…
蓮温は無表情のまま静かに頷いて話しを続けた。
「…あの子の父親は死んでいます。
元々は逮捕された河野の秘書でしたが、河野の悪行をリークしようとした矢先に、それがバレて…逆に全ての濡れ衣を着せられて、自さつと装って殺されました。
…そして…以前から目をつけていた奥様を自分の好きなようにしようとした…。
…奥様は…そんな事になる位なら…
娘と無理心中を図ろうとしていた矢先に…
亡くなったご主人が密かに隠し金庫に手紙を預けていたことが分かったんです。
そこには、
『自分に何かあった場合はsweeperに連絡しろ』
時間がなかったんでしょう。
走り書きでそう書かれていました。
奥様がリイを抱えながらA様のもとに辿り着いたのは、それから3日後でした。
河野の追跡をかわしながらやっとの思いで家の前に着いた時には…
無理心中なんて必要ないほど2人とも衰弱されていました。
奥様が目を覚ました時、A様は彼女に聞きました。
『相手は誰?』と。
依頼内容を聞く前に引き受けたんです。
リイにはこう言いました。
『誰が何と言おうと、貴女のお父様は正義の味方だった。だから、前を向いて、胸を張って、プライドを持って生きていきなさい。』と。
…
A様は躊躇なく、河野グループを跡形もなく消しました。
…これが、我々の裏の仕事です。
…あなた方がどう思われようと、
…我々にはA様が絶対的正義です。」
最後に…
口元にうっすら笑みを浮かべた蓮温は…
男の俺でも…
綺麗だと思った。
…
…怖いほどに。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年9月27日 12時