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臣side
Aからの連絡が来るまで落ち着かなくて、トランシーバーを握ったままの俺。
「臣ちゃん、そんな心配せぇへんでも、Aの方が俺らなんかより数倍こういうことに慣れてるやろ、きっと。」
健ちゃんが釣竿を持ちながら、ちらっとこっちを見る。
…そりゃそうだけど…。
『……こちらA。…聞こえる?』
「臣。岩ちゃんいた?」
『………』
「もしもし?A?」
『…めっちゃ反応早くて逆にビックリしたよ!!』
聞こえてきたのはAの笑い声。
深刻そうじゃなくてホッとする。
『通り雨が来そうだから、近くにある洞窟に入って雨避けしてね。…剛典なんだけど…ちょっと1人じゃ上がれないところにいて…足も軽く捻ってるの。洞窟にあるロープとシーツ、雨がやんだら持って来てくれる?』
え?
「岩ちゃん、大丈夫なの!?」
直人さんが即座に反応した。
『…もしもーし、こちら岩ちゃんです。すみません、ご心配おかけしました。たいしたことないです。』
『って、わけで、こっちも岩陰で雨しのぐから。雨で狼煙消えちゃうかも。雨がやんだら、私の言った道を来て。途中からレーダーの範囲内に入るから。』
そう言って、俺達に道を伝えると『じゃね!』と明るく言って通信は終わり…
見計らっていたかのように、雨がポツポツと落ち始め…
あっという間に勢いが強くなった。
慌てて言われた通り洞窟で雨をしのぐことに…
「スコールみたいだな…岩ちゃんとA濡れなきゃいいけど…。」
隆二が外を見ながらポツリと呟いた。
俺は…
…勿論、岩ちゃんの足も心配だったけれど…
人に触れたくないAが…
…岩ちゃんとは言え男と2人きりの状況なことに
…気が気じゃなかった。
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作者名:◎まる◎ | 作成日時:2018年9月27日 12時