Level S……2 (ページ9)

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直人side

「A！」

電話を終えてこっちに向かってきていたAに声を掛ける。

同じ歳って聞いてから、俺だけはAに「さん」を付けずに呼んでいた。

相変わらずの無表情だけど「直己の様子は？」と真っ先に確認してくる。

「うん。メンバーも付いてるから大丈夫。それより…髪！スタッフに美容師いるから揃えてもらおう？」

俺の言葉にあからさまに面倒臭そうな顔。

翔威の言った通り…このままザクザクヘアでも良いって言いそうな雰囲気…。

「行くぞ。翔威にも頼まれたから…とりあえず一旦事務所戻るよ！透さんから連絡きて、直己が落ち着くまで事情聴取待ってくれるって言ってるし！」

渋るAの手を取ってタクシーに突っ込んだ。

A「別に急がなくても…」

ふてくされたように外の景色を見ながら聞こえるように呟くA。

「…お前ねー…一応女なんだからさ…。」呆れたように言う俺の方をチラッと見ると「次は男に生まれたい…」とブツブツ。

駄々っ子か(笑)

くくっ。

いつものクールな印象とのギャップが可愛くてついに笑いが溢れた俺に、不思議そうに首を傾げる。

……。

近くで初めて見たけど…あどけなさが残った顔…。

綺麗な人だなって思ってたけど…こう見ると…童顔で可愛い。

ドキッとしちゃった自分を誤魔化すように視線を逸らす。

「…直己の為にも、揃えてもらってよ。Aのその髪見たら、直己、ずっと落ち込んでそうだからさ。」

そう言って、視線をAに戻すと…

一瞬の真顔のあと…

優しく微笑んで

「…本当にそうだ。直人優しいね。さすがリーダー。」

あぁ…やばいかも…俺。

「…普通のことでしょ…。それより…お前はケガしてないの？」

色々あって肝心なこと聞き忘れてたよ、俺のバカ…。

Aは、一瞬キョトンとした後にふふってまた笑って言った。

「…やっぱりやさしーじゃん。私は見ての通りピンピンしてるよ。鉄の女なの(笑)。」

いつも見せない笑顔とか、冗談とか…タメ口とか…この人、ワザとなのかな？
な訳ねーな。
無意識って、こえーな。

「鉄の女はこんなに優しく笑わねーよ。」

そう言って、斬られた髪をそっと触ると、少し驚いたような顔をして、赤くなったAは俺から視線を逸らした。

俺の中に…特別な感情が生まれた…瞬間だった。