Level S……2 (ページ17)

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臣side

一瞬、ぽかんとした後、翔威は満面の笑みで「本当にこの会社の人はお人好しだね。」って言った。

HIROさんに感謝の気持ちでいっぱいの俺だけど、何て言ったらいいかわからず…視線を向けると無言で優しい笑顔を返してくれた。

翔「…分かったー？A？ちゃんと自分も守ってくれないと、高いお給料もらえないからねー？」

翔威のセリフに…Aさんは苦いコーヒーを飲んだ後みたいな顔をした。

透さんに話があると言われて出て行ったAさん。

扉が閉まると同時に…

「皆さん、ありがとう。」

翔威が突然深々と頭を下げた。

直人「何々？どうした？頭あげろって。」

岩「そうだよ、らしくない。どうしたの？」

顔を上げた翔威は…泣き笑いの表情…。

翔「臣さんや岩さんの思ってる通りだよ。」

「…え？？」

何のこと？

主語がない翔威の言葉に困惑。

翔「Aはね、依頼人を守るためなら、迷いなく死ねるんだよ。…死ぬことに…何の迷いもない…。正確に言うなら…生きてることに…未練がないんだよ…。」

「…は？…」

俺が思っていた以上のことに思考が止まる。

何で？

次の言葉は声にならない。

翔「…理由は言えない…。ただ、どうしてもやらなきゃいけないことがあってAは生きてるの。でも、依頼人を守る為なら…どうにもならなかったら…代わりに自分がいつ死んでも良いって思ってるんだ。」

そう言うと…苦しそうに一呼吸置いて…目を瞑った。

翔「自分と同じ思いをさせないために…。」

最後のつぶやきは…本当に小さかったけど…皆聞き落とさなかったと思う。