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振り向いたけれど、あっちゃんは背を向けたまま。
「…お前、本当に鈍感な。」
「…あっちゃん?」
「…よーく聞いてよ。ずっと前からお前のこと好きだった。だけど、お前、全然気づいてないし、その上彼氏できたノロケ話まで俺にしてさ。」
「…うそ……。」
びっくり?そう言って、やっとあっちゃんはこっちを向いた。
「…忘れようとして…彼女と付き合いだしたんだよ。…忘れられるんじゃねーかって思って。…だけど、結果的に、彼女を傷つけて終わった。」
「…あっちゃん…。」
「幻滅?」
悲しそうに微笑んだあっちゃんに、私は黙ったまま首を横に振ることしかできない。
「長ーい片想い……。ここまできて、誰かに掻っ攫われるとか俺無理だから。」
あっちゃんは私の頭を優しく撫でて言った。
「…お前しかいらない。今までも、これからも、俺の人生には…お前しかいらない。」
「…あっちゃん…。」
言葉の見つからない私にあっちゃんは「やっと言えた。」そう微笑んで立ち上がり、私の手を引いた。
「ほら。戻るぞ。楽しまないと損だろ。」
…
「あっちゃん…。」
先を歩くあっちゃんの背中に声をかける。
「んー?」
「……これ、ドッキリ企画じゃないよね?」
呆れたように振り返ったあっちゃんは言った。
「……大変だろうけど…諦めて…現状を受け入れろ。」
「…承知しました…。」
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作者名:まる | 作成日時:2018年6月9日 22時