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岩side
直己さんの公開告白が成功して、とりあえず荷物を置くのにメンバーで部屋に入る。
露天風呂付特別室ばかりがあるこの階は各部屋がリビング、ダイニング、和洋室と三部屋に分かれていて、最大で4人が泊まれる。
メンバーは3人と4人に分かれて荷物を置きに行って1番広いこの部屋に集合。
寝るときは別れるけど、この1番広いタイプの部屋に食事はまとめて運んでもらうことにした。
桜智さんと直己さんは皆に囃し立てられ食事の準備ができるまで、別室で2人きり。
ATSUSHIさんと啓司さんは、部屋の温泉に入ると言って一旦自分たちの部屋に戻った。
従業員が出入りして食事のセッティングをしている間…
Aの居場所を探してキョロキョロすると
「みっけ…」
2つあるバルコニーの1つに出て、夜空を見ている君。
エリーと健さんの即興ラップで盛り上がる他のメンバーには気づかれないようにそっと外に出る。
昼間は汗ばむ気温だったのに、今はひんやりしていて…
ふるっと少し震えて自分の肩を抱く君に、俺は自分が着ていたパーカーを脱いで、背後から君を包み込むようにかけた。
「ん?」
驚いたように頭を少し後ろにのけぞらせて背後から抱きしめる俺を見上げるA。
離れることなんてできなくて、むしろ抱きしめている腕に力が入る。
「…岩田さん…もしかして、もう酔ってます?」
困ったように微笑む君を見て、佐藤のことを思い出し、怖がらせないようにそっと離れて答えた。
「…まだ飲んでないよ。ごめんね?怖がらせた?A寒そうだったからついつい包んじゃった。」
俺の言葉に、かけられたパーカーを見て
「怖くないですよ?ごめんなさい、寒くないですか?」
そう聞いてきた君に俺は首を横に振り、パーカーの袖を通す。
「…ぶっかぶか…。」
余った袖口を俺に見せながら笑う君…抱きしめたい衝動を抑えて…
俺の手は…無意識に君の頬を包んだ後、親指だけでそっとおでこをなぞった。
「…俺にしか見えない印…ここにつけたの…。」
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作者名:まる | 作成日時:2018年6月9日 22時