春色ラブソング (ページ1)

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·····また、今日もだ。

毎度のこととは言え、当事者となると思わずため息が出てしまう。

教室の左端、一番後ろが私の席。

私が登校する時間、そこにはいつも女の子が集まっている。

原因は私の隣の席の彼

ーー永瀬廉くん。

永瀬くんといえば校内はもちろん

この界隈の学生なら知らない人はいないほどの有名人。

全国制覇もした我が校サッカー部のエースで

モデル並に整った顔立ちにスタイル。

明らかに他の生徒とは一線を画し

大人びた風貌をしている。

おまけに頭脳明晰とくれば
女の子たちが放っておくはずがない。

各学校にファンクラブがあるほどだ。

そんな彼の席には少しでも仲良くなろうと

色んな女の子がやって来る。

頬を赤く染めながら一生懸命アピール。

恋の力ってすごい。

私には真似できないや。

そんな彼女たちの邪魔をしないように合間をくぐり抜け

自分の席まで辿り着くと案の定誰かが座っている。

｢ごめんねAさん
ちょっと席借りてるから♪｣

くるんと綺麗にカールされた睫毛に
大きな瞳。

クラスで一番可愛い佐々木さんから

｢ね？｣

と可愛く首を傾けお願いされれば
断れるはずもなく

『·····う、うん。どうぞ』

力なく笑い、席を譲る。

これもいつもの事だ。

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