届いた。 ページ31
雅「…Aは、最後に君に会いたかった、って…。
そう、言っていたよ。」
さっきまでとは打って変わって落ち着いた声で話す相葉さん。
…また、この人は泣きそうな顔で笑う。
………何か言いたげな時のAと同じ表情。
雅「これ、渡して欲しい、って…Aが…。」
そう言って渡された小さなメモの切れ端には、『病院から５分、二つ目の角を右に曲がって真っ直ぐいった先の丘の上』と、小さく記されていた。
和「…これ、どういう・・・？」
雅「…そこに来て欲しい、って事だよ。」
相葉さんはそう言うと、また寂しそうに目を伏せた。
…きっと相葉さんは、ここに何があるか知ってるんだ…。
そして、そこに行けてないんだ…。
俺が行かなきゃ。
相葉さんが行けなかった理由は、きっと俺のせい。
だから、相葉さんの代わりに俺が行くんだ。
いろんな思いが入り混じった涙が溢れ出してきそうになる。
でも、今俺がここで泣くなんて…
俺より辛い人が居る前で、俺は涙を流せるか？
…そんなの、無理だ。
だから、俺は笑う。
和「…相葉さんの分まで、幸せにするつもりだったんです、俺。
…Aがいなくなっても、俺の一番はずっとAだし、Aより大事な人なんて作らない。
…新しい恋をしてね、って…言われました。
出来るわけないですよね…そんなこと。」
ハハ、と引きつった頬を無理矢理にあげて笑顔を作った。
相葉さんの表情は暗いままだったけど、相葉さんもハハ、と乾いた声を漏らした。
和「俺…行ってきますね、ここ。」
そう言って病室から出るとき。
雅「俺も恋なんてもういいや…。
きっと、運命の人なんて…現れない。」
そう、小さく相葉さんがつぶやいたのが俺の耳に届いた。
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か〜なん(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまってすいません…・もうすぐ完結の予定なので、最後まで付いてきて下さると嬉しいです(*´∀｀*) (2015年2月28日 22時) (
レス) id: d79f013d4a (このIDを非表示/違反報告)
のん - すごく.ドキドキする話で早く続き読みたいです! (2014年8月21日 8時) (レス) id: e8d2e5b18c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：か〜なん | 作成日時：2014年8月9日 1時
