淡い想いは卒業まで。 (ページ15)

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ながからむページ15

(side北斗)

本当に、最初はただの生徒だった。

それなりに容姿に恵まれたせいか、

生徒から言い寄られる事も多く

彼女もまた、その大勢のうちの1人だった。

だが、彼女が2年の秋頃

「あの、永井Aという生徒の事ですが、」

「？はい。、」

突然理事長室に呼び出された俺は、

何かやらかしてしまったとのかと

冷や汗をかきながらその見慣れた名前を聞いた。

学年一位のくせして古典だけが学年ビリ。

古典教師としては

居たたまれ無いような成績を持つ彼女は

その頃には大勢のうちの1人では無く

それなりに印象に残る生徒だった。

「あのですね、

彼女、A財閥のお嬢さんなんですよ。」

「は、」

理事長は突然何を言い出すのかと思えば。

知らなかったけど、それがどうした。

俺はただの教科担任だ。

「彼女、古典の成績が振るわないでしょ？

松村先生、A財閥の寄付金をご存知で？」

さらに嫌な汗が流れた。

「いえ、詳しくは知りませんが。」

ただ、そういう学校の経営に

あまり興味のない俺でも

A財閥という名前は耳にしたことがあったから

ほんと、それぐらいの事なんだろう。

「彼女、古典の成績だけが

酷く落ち込んでいるようですね」