31 Juri ページ31
久しぶりに予定のない休日。
うっかり切り忘れたアラームに起こされて、
なんだよ…とスマホをとった矢先だった。
最近じゃ珍しくなってしまったあいつからのメッセージ。
声も聞きたかったし、返事を返す代わりに電話をかけた。
お前が俺に会いたいって言ってくれるのは嬉しいけど、
一人って…
樹「北斗には聞かせられない話？」
今日は一日休んでるというので、
Aをドライブに連れ出すことにした。
『いえ、えっと…高校時代のお話を聞きたくて。』
樹「おー、いいよいいよ。」
なんでもない海沿いの道で車を走らせながら、
少し昔の思い出を
どれがいいかな、なんて選ぶ。
四六時中四人でいたからさ、
話したいことなんて山ほどあんのよ。
元々は俺とお前の席が隣で仲良くなってさ、
気が付いたらお前は北斗やきょもを巻き込んでて
『ほっくんごはん食べに行くよー！』
北「え？俺も？」
寂しがりやのくせに人付き合いが苦手で、
すぐひとりになろうとする北斗も
『大我なに描いてるの？』
大「Aにわかるかなぁ。」
やんちゃなのにどこか繊細なきょもも
『樹、遅刻何回目？』
樹「まって違うの！今日はあれだよ、ほら」
もちろん俺だって…
世話焼きで、誰も孤独にしないお前のことが大好きだった。
お前が笑うだけで周りみんなが笑顔になる。
そんな不思議な力を持ってて…
樹「まぁ、そのへんは今も変わんないと思うけどね。」
『そんなこと…』
樹「あるよ。お前が起きる前の北斗の顔、
俺一年見てきたからね。」
ほっといたら死んじゃうんじゃねぇかってくらい真っ白な顔して、
消えてしまいそうな北斗を何度も見た。
悲痛な声で、眠り続けるお前の名前を何度も何度も呼んでるのを
病室の外から聞いたことだってある。
けど今は？
確かにお前が記憶をなくしてることで
戸惑ったり悲しんだりしてることもあるかもしれない。
だけどあの頃に比べればずっといいよ。
ちゃんと生きてる。
お前が笑えば北斗も笑うでしょ？
あいつ作り笑いなんてできるほど器用じゃないよ。
樹「きょもからもしょっちゅう連絡くるよ。
毎日楽しいって。ほんとありがとな。」
『違う…私そんなこと言ってもらえる人間じゃないです…。』
なぁ、昔話が聞きたかっただけじゃないんでしょ？
いくらなんでも会った瞬間気付いてたって。
ひっでぇ顔色。
一体何があったんだよ…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる - 大切な人をさがしていますのときのきょもといいこの作品の狂った感じのきょもがすごく好きです！！色んな夢小説読ませて貰ってますがダントツで主さんの小説が気に入ってます！！パスワードついてるやつも読みたいので良ければパスワードを教えてもらいたいです！ (10月1日 22時) (
レス) @page50 id: 8c21077a9a (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 和香(わか)さん» ちょっと憂いのある終わり方をしたくて…><新作も読んでくださってありがとうございます！頑張ります！ (2018年12月21日 6時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
和香(わか)(プロフ) - 綾鷹さん» あ､そうなんですね！分かりました！ハッピーエンドでもありますが悲しくもあるお話ですね｡新作も楽しく読ませていただいてます｡更新頑張って下さい！ (2018年12月19日 22時) (レス) id: d00ba15efc (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 和香(わか)さん» 3と5で触れているのですが、二人にはもう両親がいない(接触がない)、48では主人公は京本くんとはもう会わないと決めていて。他に重要な人物は登場させなかったので結婚式はせず写真だけ樹くんのところで撮ろうという最後にしました。わかりづらい書き方ですみません;; (2018年12月19日 22時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
和香(わか)(プロフ) - あの､質問なんですけど何で結婚式に夢主と北斗くんと樹君しか居ないのですか？少し疑問に思ったので…良ければ教えて欲しいです｡ (2018年12月19日 18時) (レス) id: d00ba15efc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾鷹
| 作成日時：2018年10月10日 22時
