ふたり

24 You ページ24

北斗さんから電話…。


どうしよう、今は上手くしゃべれない。
心配かけちゃう。

それに…



倒された拍子にタイツとか破れちゃって、
髪の毛もぐしゃぐしゃ。

こんなの見られたら説明できない…。





大「あ、もしもし北斗？」





どうしようどうしようとスマホを持って固まる私の代わりに、大我さんが電話をとった。





(は？なんで京本が出んの？)

大「ごめん、どうしても今日中にAに手伝ってほしいことあってさ。
家まで送って行くからもうちょい貸して！」

(もうちょいって、おま「じゃ、あとで家行くから！」ぶちっ)



『大我さん…？』




誤魔化してくれた。

北斗さんと話してたいつものトーンとは打って変わって、
落ち着いたできるだけ静かな声で話してくれる。





大「ごめんね。
北斗にはあとで家行ったときちゃんと説明する。
だけどこの格好、見られたくないでしょ？」

『うん…。ありがとうございます。
でも、北斗さんには今日のこと内緒にしてほしいんです。』

大「え、だめだよ。あんな危ない目にあったのに…」

『北斗さんにこれ以上心配をかけたくないんです。』





私のせいで何度も心を磨り減らせた北斗さんに、こんなこと言えない。




私はもう大丈夫。

あとはゆっくり思い出すだけ。



そう思っていてほしい…。





『大我さんお願い、』

大「……じゃあ、俺に心配させてよ。」

『え？』

大「北斗に相談できないこと、俺に相談して。
なんでも一人で背負い込まないで。」





じゃなきゃ壊れちゃう、

大我さんは乱れた私の髪を少し整えながら言った。





『大我さん…』

大「これ手ぐしじゃ無理だな！！」





美容院行くぞ！



そこまで大げさじゃなくていいんだけど…

なんとか笑わせようとしてくれる大我さんの優しさに





『その前にタイツ買いたいです！』





多分あれは会社の人だった


元気なふりしてその言葉を飲み込んでしまった。

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