ふたり

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北「A？スーパーこっちだよ？」

『実は、用事があるのはスーパーじゃないんですよ。』

北「？」





閉まっちゃいます！早く早く！



いつもより早足で歩く君が連れて来たのは、
家の近所にあるケーキ屋さん。



俺も君もここのケーキが大好きで、
何かお祝いのたびにここのケーキ食べてたね。



でもなんでケーキ屋さんなんて…





え…

ちょっと待って、今日って





『すみません、予約してたケーキを受け取りに来ました。』

「バースデーケーキですね。少々お待ちください。」



『…えへ、』





本当はびっくりさせたかったんですけど…



振り返った君は、少しだけ頬を染めて
困ったように笑った。








北「…知ってたの…？」





家に帰って、
君が用意してくれた少し特別な夕食を食べながら。




きっと京本か、でなければ樹に吹き込まれたかな。

なんて思ったけど、


君からの答えは俺が予想してたのよりずっと嬉しいもので、





『去年のスケジュール帳に書いてありました。



…北斗さんが私の持ち物を大切にしてくれてたおかげで知れたんです。』





照れくさそうに言う君に、口元が緩みきってしまう。



俺がしたくてそうしてただけなのに…

そんなふうに言ってくれるの？





『北斗さん、お誕生日おめでとうございます。
いつも本当にありがとう。』

北「…A、ありがとう。
やばい、泣きそう。」

『北斗さん泣き虫だもんなー！』

北「はぁ？お前なぁ！」

『ふふ、ごめんなさい。』





今年はびっくりさせるのが一番の目標だったので、
来年はケーキ焼いてあげますからね！


うん、期待してる。





少し未来の話ができるようになったのは、


俺も君も、何か見つけなきゃと焦ってた最初の頃より
随分お互いに馴れてきたからなのかな。



このまま、ゆっくりでいいから

一緒に前に進んで行けたら…





『北斗さん、口元クリームついてる。』

北「うそ？」

『ちがう、反対。もー。』

北「じ、自分でとるって！」





俺の方がドキドキしてんじゃん…。

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