その花の名は (ページ9)

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3.コウテイダリアの憂いページ9

side:you

「俺とデートしてください」

その言葉が頭の中をぐるぐる回り続ける。

乾くんに避けられてるかもって須貝さんに相談したのは、もう5日も前のこと。そんなに気になるんだったら乾に直接聞けば？、って進言のもと、何て聞こうか考えてたらあっという間に時が過ぎた。本当はもっとさっぱり聞く筈だったのに、乾くんも何もないって言うから、どうしても信じられなくて責めるような言い方をしてしまった。その結果、何故かデートに誘われるという展開を迎えたのだけど。

デートって何？なんで乾くんがそんなこと？
……まさか須貝さんが何か言ったとか。きっとそうに違いない。あのとき私が何かしなかったかってことばっかり気にしてたけど、須貝さんと乾くんの間でどんな話がされてたのかだって重要じゃん！

もー！嬉しいです、なんて呑気に報告してる場合じゃなかった！明日絶対聞こ！

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side:sgi

オフィスに着いて早々、Aがすごい形相で近寄ってきたから何かと思ったら。

「須貝さん、聞きたいんですけど」

「なに。Aさん、顔怖いんだが」

「乾くんに何か言いました？」

「は？」

小声なのに圧がすごい。え、待って、昨日はデートに誘われたって喜んでたよね？この落差は何？どういう展開？

「何かって何？どういう系？」

「冷静に考えたら、乾くんが私をデートに誘ってくるなんておかしいと思うんです！須貝さんが乾くんに何か変なことを言ったとしか思えません！」

おいおい、全然冷静に考えてなくね？なんでこんなネガティブなの？

「そういう意味なら何も言ってねえわ。デート誘われたんでしょ？素直に受け取りなさいよ」

「だってだって！そんな都合のいい話があります！？」

「世の中には都合のいい話もいっぱいあんの」

「そうかなあー」

Aはまだ何かごにょごにょ言ってたけど、丁度いいタイミングで乾が出勤してきたから慌てて席に戻って行った。それでもなお何か物言いたげにこっちを見てるから、変顔風の笑顔をお見舞いしておく。お返しにめちゃくちゃ顔を顰められた。

やっぱAっておもろい。