その花の名は (ページ21)

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5.ブーゲンビリアの囁きページ21

side:you

「わー！めちゃくちゃ青春じゃないですか！乾もやるなあ！」

「ううう、恥ずかしい…やっぱり言うんじゃなかった…」

ああ！どうしてこんなことになったんだろう！

遡ること30分。昼休憩を取ろうとオフィスを出ようとしたところで、山本くんと出くわした。

「あ、Aさんお疲れ様です」

「山本くん、お疲れー」

「そういえば、例のデートどうだったんですか？」

「ちょっ…！？声が大きいよ！」

「あー！ごめんなさい！お相手の方、オフィス内にいるんですもんね！」

「なんでそれを…！？」

「やっぱりそうなんだー！」

や、やられた。この前もその戦法でデートってことがバレたばっかりなのに！コーディネートを選んでくれたことには感謝してるけど、こんなところまで頭が切れるなんて想定外……

山本くんは「誰かなー？」なんて言いながら、オフィス内を覗こうとする素振りを見せてくる。こうなったら言うしかないのかな、と思い始めた頃、

「ね、ランチ出るならご一緒していいですか？僕がコーデ選んだんだから、話聞く資格ありますよね？」

なんて言うものだから、2人でオフィス近くのカフェに行くことにして、デートの相手が乾くんであること、手を繋がれたこと、男として意識してほしいと言われたことを報告し、冒頭の会話に戻るという訳。

「え、ちょっと待ってください。Aさんって乾のこと好きなんですよね？てことは、もう男として意識するなんて余裕でクリアしてますよね？」

「そうなるね」

「なんでそれ言わなかったんですか？」

「私も言おうとしたよ？でも、乾くんその後すぐ、それじゃ！って言って帰っちゃったの」

「ええ！？何それ！？それはズルすぎるよー」

「そんなんだったから、私どうしたらいいか分かんなくって。もう意識してるよって今さら伝えるのもおかしい気がするし…」

「っていうか、そんなの両想いじゃないですか！付き合っちゃえばいいのに」

「そうかなー…乾くんがこんな年上の一般人好きになる？」

「え、自己評価低すぎてびっくり」

「そう？だって乾くんだよ？あんなに若くて、かっこよくて、頭いいんだよ？本当は好きになることすら烏滸がましいんだから」

「Aさん鏡見たことあります？」

「あるから言ってるの」

「あらー、こりゃ重症だ」

それからもなんだかんだと言いながら、結局たくさん喋ってしまった。山本くんって聞き上手なんだな。相談してみて良かったかも。