ss.赤いヒヤシンス ページ20
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◇奈絆さん発案の企画『秋晴の嫉妬祭』に提出したお話です。
side:sgi
「で？デートはどうだったん」
「無理でした」
「は！？無理って何！？」
「Aさんがかわいすぎて無理でした」
「おい、びっくりさせんな」
乾とAの水族館デートが遂行されたその日。まあ俺はそのことをすっかり忘れていたのだけど、乾から『いつでもいいんで飲みに行きましょう』って連絡がきて気が付いた。その日はあいにく用があったから、別日に設定したのがまさに今日。ビールで乾杯して、直後の会話がこれ。
「で、かわいすぎるAに乾くんはまんまと惚れ直しちゃいました、ってこと？」
「そうです」
「はー！青春だなー！」
「逆になんで須貝さんはAさんのこと好きにならないんですか？あんなに仲良いのに」
「何だよその質問」
「だって、あんなに見た目綺麗なのに話すとかわいくて仕事できて頼れる人、近くにいたらみんな好きになると思うんですけど」
「人によるだろ」
「俺、心配なんですよ。Aさんのこと好きになる人いっぱいいそうだし、モタモタしてたら誰かに先越されるんじゃないかって」
「あー…、大丈夫じゃね？」
「なんで」
「なんでって…、わかんねえけど」
Aもお前が好きだからだよ、は言えない。
「最近仕事してても、Aさんが男と話してるだけでムカつくんすよ」
「それってもしかして、俺にもムカついてる？」
「はい」
「お前…。相当拗らせてんな」
「何とでも言ってください」
「重い男は嫌われるぞ」
「それは言われると辛い」
「何とでもっつったろ」
乾が、はあーーっと深く溜め息を吐く。
「水族館行った日、Aさんめちゃくちゃかわいい格好してきてたんですけど、その服、山本さんが選んだらしいんですよ。どういうつもりですかね、山本さん」
「は？そんなん、友達だからしたんだろ。気にするとこじゃなくね？」
「いや、そういうところから攻め込んで狙う男もいますから」
「お前の警戒心、猫なの？」
そこも大丈夫だから！俺が手伝ってもらえってAに言ったんだから！、とも言えない。
「須貝さん、Aさんのこと好きにならないでくださいね」
「ならねえから安心しろ」
「言い切れるの意味わかんねー」
「お前めんどくせえな！」
この後は乾も俺も酔っ払って更に酷いことになったので、割愛で。
end.
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作者名：猫舌 | 作成日時：2022年8月18日 14時
