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俺の思惑通り、やはりジオルド様は策士で、妹を道具としか見ていなかった。
それでも、この婚約は2人の…カタリナとジオルド様の意思の問題。
それに、一応ではあるが、傷が消えればこの婚約には理由というものがなくなる。
理由さえなくなれば、今度は「婚約破棄の意思」が優先させるのだ。
だけど、どう考えても俺よりも遥かに、ジオルド様はとても強い。
身分も権力も、クラエス公爵家では敵わない。
つまり…王族のジオルド様が「傷はまだ消えていない」と言えば、婚約は継続される。
カタリナは、ジオルド様の道具として生かされるしかないのだ。
もし、これがカタリナ自身が、ジオルド様が好きで婚約したいとか
あるいは利害の一致…お互いがお互いを利用する事を話し合った上で、なら分かる。
政略結婚とか、本人同士の意思を無視した婚約の場合に良く見られるからな。
だけど、今回はそうじゃない。
カタリナの意思を全部無視した…大事な家族を無下に扱うアイツを、俺は許さない。
幸いにも、カタリナはジオルド様に対しては友人止まりだし、恋愛感情は今後抱く事はない…と思う。
だから、下手な動きさえしなければ…
あるいは、ジオルド様にとってカタリナよりも好条件…ジオルド様が誰かに本当の意味で恋愛感情を向けてしまえば…
そうすれば、要らなくなった道具は廃棄されるだけ。
一度捨てたたら、二度と拾えない。元の場所に戻ることはない。
幸い、今のカタリナは我が道を行く、強靭の心を持つ、とても逞しい女性。
ジオルド様に捨てられた所で、精神面では痛くも痒くもないだろう。
むしろ、カタリナ自身も王子との婚約は……デメリットだらけにしか思っていないから気乗りじゃないだろうし。
だから、俺に出来るとしたら…今はひたすら様子見するしかない。
なのに…
―――こんにちは、リアム様。そちらは…キース様、でしたか?
―――……こんにちは、ジオルド様。
―――こ、こんにちは。確か、義姉さんの…
―――はい、カタリナ様の婚約者である、ジオルド・スティアートと申します。
稽古の帰り、バッタリとジオルド様と遭遇してしまった。
いや……本当にバッタリか?
今となってはこの男を信用出来ないから、無暗に探ってしまってるのかもしれない。
どのみち、俺の中で誰よりも会いたくない人間だから……感情を抑え切れないだろう。
キースがいる手前、こんな醜い感情を露にしたくないのに…!
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桐谷 - ohanaさん» 返信が遅くなり申し訳ございません!ありがとうございます!マイペース更新ですが、第3章も頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします! (2021年6月4日 23時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
ohana(プロフ) - 日々更新するのが楽しみなぐらい好きな作品です!今後も、応援してます、頑張ってください! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 43410ab91f (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 結城さん» コメントありがとうございます!結構な低更新ですが、今後とも頑張っていきます! (2021年5月24日 20時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
結城 - 物凄く面白いです!!何回も読み直しました!!!続き楽しみに待ってます!!!! (2021年5月24日 0時) (レス) id: ca8b7f5d28 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 七夏さん» コメントありがとうございます!本日久々に更新致しました。今後ともよろしくお願いします! (2021年3月7日 23時) (レス) id: 98fa4274c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐谷 | 作成日時:2020年12月19日 23時