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離縁…俺、もしかしたら助長させちまったか…?
どうなるんだ、と、俺達はお父様とお母様を見守るしか出来なかった訳だが…
「……ミリディアナ」
お父様が、お母様の隣に寄り添い……優しく介抱する。
お父様の表情はとても悲しそうで……とにかく痛そうだ。
愛人の存在を疑われ、更に養子に迎えたキースを隠し子だと思い込まれ……
いや、お父様がそんな表情をしているのは、多分それだけじゃないだろう。
「……旦那様」
お母様が、相も変わらず涙目ではあるが…少し目を丸くして、お父様を見つめる。
「ミリディアナ…結婚した時から、君が私に線を引いているのは気が付いていた。
君の許可もロクに取らずに結婚を決定してしまった私に…君が心を許していないのだと思っていた」
なるほど。お父様がお母様大好きなのにそれを態度で現わさないのは、そういう…ね。
「それは、旦那様には他に沢山のお似合いのお相手がいらっしゃったのに……私の父であるアデス公爵に義理立てして、私を貰って下さったのでしょう。私はそのことが申し訳なくて……」
それは…何度も聞いた覚えはあるけど、具体的な理由までは知らなかったな。
お父様は……お母様を更に抱き締める。
「ミリディアナ、君はそんな風に思っていたんだね。気が付いてあげられなくてごめんよ。
私がキチンと気持ちを伝えないばかりに、君には酷く辛い思いをさせてしまったね。
……ミリディアナ、改めて言おう君を愛している」
「……だ、旦那様……」
「初めてアデス公爵に君を紹介された時、一目で恋に落ちた。
アデス公爵に、君の縁談がまだ決まっていないと聞いた時には天にも昇る程嬉しくて、すぐ自分のものにしなければと強引に結婚を決めてしまった。
でも、その後、君はいつも私によそよそしくて……強引に結婚を勧めた私を嫌っているのだと思っていた」
「いえ、私も一目見た時から旦那様に惹かれていました。でも、義理で結婚しなければならなくなった私を、旦那様は嫌っていると思って……」
「ミリディアナ、私たちは互いに誤解しあっていたのだね」
「旦那様」
離縁の危機…でしたよね?
この両親、自分達の世界に入ってるわ。
もう親の顔じゃない。男女が愛し合う顔そのもの。
俺、カタリナ、キース、アンやノア等のその他使用人は…ただただ立ち尽くししかなかった。
まぁ、とりあえず…一言だけ言いたい。
―――部屋に帰って良いすか?
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桐谷 - ohanaさん» 返信が遅くなり申し訳ございません!ありがとうございます!マイペース更新ですが、第3章も頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします! (2021年6月4日 23時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
ohana(プロフ) - 日々更新するのが楽しみなぐらい好きな作品です!今後も、応援してます、頑張ってください! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 43410ab91f (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 結城さん» コメントありがとうございます!結構な低更新ですが、今後とも頑張っていきます! (2021年5月24日 20時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
結城 - 物凄く面白いです!!何回も読み直しました!!!続き楽しみに待ってます!!!! (2021年5月24日 0時) (レス) id: ca8b7f5d28 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 七夏さん» コメントありがとうございます!本日久々に更新致しました。今後ともよろしくお願いします! (2021年3月7日 23時) (レス) id: 98fa4274c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐谷 | 作成日時:2020年12月19日 23時