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次の日に勝負を控えた俺は、ノアの提案で早めに切り上げる。
俺の身体の調子を整える為だ。
本当なら、いつも以上に練習したいけど……ノア曰く「それだとリアム様の性格上もそうだが、次第に焦って無茶して、逆に体を壊す」らしい。
という訳で…
「い、だだだっ!?カタリナ、お前押し過ぎ…!」
「ええ!?ご、ゴメン、どっか折れた!?」
「いや、折れてはないけど…」
カタリナから「体をほぐすのもマネージャーの務め!」と、脚、背中、肩等を揉まれている。
てか、マネージャーって何だ?
「ったく……お前、もう少し労わってくれよ……」
「ごめんなさい……明日、私の為に……」
「……」
「リアム?」
カタリナの為。
それには変わりないし、あんな奴にカタリナを渡してなるものか、という俺の意地もある。
けれど、ノアとの練習を続け、助言を聞いて行く内に、もう1つ芽生えたものがある。
何をしてもこなしてしまうジオルド様に、この世界はどの様に見えているのか。
カタリナを婚約者にしたのは、果たしてジオルド様にとって彼女は、本当に都合の良い存在だったから……なのか?
アイツの言動から、本音や本性を、まだ聞き出せていない。
これは、真剣勝負だ。
俺の事はどう思っていようがどうでもいい。
あの人が、カタリナに対する気持ちを知りたい。
何も分からなくて、見えなくて、ただ彷徨い続けるだけの真っ暗い闇の中で……俺は、一筋の光を…真実を求めている。
勝敗なんか、どうでも良い。
例え、勝利しようが、負けて自分の身を滅ぼそうが、どんな結果になってでも、だ。
ま、これで俺が負けても、カタリナに対する想いが感じられなかったら、何度でも勝負してやるさ。
何なら、俺を罠に嵌めた婚約者をそそのかして、ジオルド様に押し付けようか…いや、そんな底意地悪い思考は良い。正当法じゃないし。
コンコン、とノックの音がする。
はい、と返事をして……現れたのは、ノアとアンだった。
「2人共?」
「あら、どうしたの?」
「どうしたの……一瞬で、僕達の台詞に変わりましたね」
「お、お2人共、何なさってるんですか!?双子の男女でそんな事をしてはいけません!」
「これはマッサージよ!リアムの固まった筋肉や血流をほぐすの!」
「双子の男女関係ないだろ、アン」
「ってそうじゃなくて!お2人共、奥様がお呼びです」
「早く身なりを整えて下さいませ」
「「?」」
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桐谷 - ohanaさん» 返信が遅くなり申し訳ございません!ありがとうございます!マイペース更新ですが、第3章も頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします! (2021年6月4日 23時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
ohana(プロフ) - 日々更新するのが楽しみなぐらい好きな作品です!今後も、応援してます、頑張ってください! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 43410ab91f (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 結城さん» コメントありがとうございます!結構な低更新ですが、今後とも頑張っていきます! (2021年5月24日 20時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
結城 - 物凄く面白いです!!何回も読み直しました!!!続き楽しみに待ってます!!!! (2021年5月24日 0時) (レス) id: ca8b7f5d28 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 七夏さん» コメントありがとうございます!本日久々に更新致しました。今後ともよろしくお願いします! (2021年3月7日 23時) (レス) id: 98fa4274c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐谷 | 作成日時:2020年12月19日 23時