64（side Keith） ページ21
―――!?
ワシャワシャと、少し乱暴に…でもぎこちなさを感じる、不思議と嫌な気分にはならない様な…そんな風に、両手で頭を撫でられる。
―――ごめんなー。俺別に埃っぽいからって死ぬ訳じゃないからー。
―――……!?……!?
―――俺、顔は怖いけど、お前みたいな子には暴力振らないんで安心してー。
―――あ……えっと……
―――おーい、リアム。どこにいるんだい？そろそろ帰るよー。
―――あ、お父様だ。
―――あ……
何故だろう。
もっと、この人と話をしたい。
もっと、一緒にいたい。
でも、それを言えば迷惑になるのは間違いない。
だけど……
―――……んじゃ、君。
―――……？
今度は、ポンポンと頭を優しく叩く。
―――またどっかで会えたら。
そう言って、彼……リアム様は、僕の部屋から出て行った。
……また僕は、真っ暗な闇の中で過ごす。
僕の世界は、この薄暗い部屋の中。
だけど……
暗闇の様な夜に、静かに照らされた月の様に
あの人は、こんな僕に光を与えてくれた。
僕に触れてくれる人がいるというだけでも、僕にとっては1つの救いだった。
あの人に付いて行けば、僕が欲しかったものが手に入るのではないか。
確証はないのに、そんな風に思ってしまった。
……それから1年後。
僕は突然、クラエス家の養子となった。
言われるがままに外へ出ると、クラエス家の使用人だけではなく……リアム・クラエス様もいた。
あの時よりも背が伸びて、同い年のはずなのに、とても大人びていた。
残念ながら、彼は僕の事はちっとも覚えていなかった。
まぁ、元兄様達に対する怒りで記憶が吹っ飛んだと聞いたからか、そこまでショックは受けていないけど、複雑な気持ちだった。
お互いに心を開けなくて、会話が続かなくて、少しだけ悲しかった。
その後、リアム様の双子の妹であるカタリナ様とも出会った。
彼女は、リアム様と対照的で、どちらかと言えば太陽の様に眩しい人だ。
積極的に僕に構っては「義姉さんと呼んで！」と、僕を義弟として見てくれたのが嬉しかった。
彼女も、こんな僕に触れてくれた。
手と繋いで、色んな場所に連れて行ってくれた。
僕の知らない世界を、教えてくれたのだ。
こんな僕に、純粋な笑顔を向けてくれたのは義姉さんが初めてで……幸せって、こういうのなんだなと、暖かくなった。
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桐谷 - ohanaさん» 返信が遅くなり申し訳ございません！ありがとうございます！マイペース更新ですが、第3章も頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします！ (2021年6月4日 23時) (
レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
ohana(プロフ) - 日々更新するのが楽しみなぐらい好きな作品です！今後も、応援してます、頑張ってください！ (2021年6月2日 22時) (レス) id: 43410ab91f (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 結城さん» コメントありがとうございます！結構な低更新ですが、今後とも頑張っていきます！ (2021年5月24日 20時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
結城 - 物凄く面白いです！！何回も読み直しました！！！続き楽しみに待ってます！！！！ (2021年5月24日 0時) (レス) id: ca8b7f5d28 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 七夏さん» コメントありがとうございます！本日久々に更新致しました。今後ともよろしくお願いします！ (2021年3月7日 23時) (レス) id: 98fa4274c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐谷 | 作成日時：2020年12月19日 23時
