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「……事故と言えば事故だったけど……アレは、無理矢理、だったよ。本当、言い逃れ出来なかった。
お父様もお母様も……使用人達も……俺は、傷物になんかしてないのに……」
…婚約する羽目になったあの日を思い出して、吐きそうになる。
あの女の醜い顔が、忘れられない。
「俺……あの女と、結婚する羽目になんのかな……」
「そんな訳ないじゃない!!」
「え!?」
カタリナが、いつの間にか俺の前に立ち…真剣な眼差しを向ける。
「リアムは何もしていない!だって、リアムは卑怯な手なんか絶対にしないもの!ジオルド様に堂々と勝負を挑んだのも、貴方が正当な振る舞いしか出来ないという証拠よ!」
そして力強く、俺を励ます。
俺を信じているのだ。
「それにあの子みたいな子は如何にも悪役令嬢がしそうな事だし、他にもきっと色々やらかしているに決まってる!
ゲームや小説でも、悪役は攻略対象によって必ず破滅するのがお決まりだしね!」
ただ、どこかズレているというか、言いたい事は分かるけど分からない部分もあるから、どうも調子が狂う。
「で、リアム!その子とは、当然今も会ってるのよね?」
「…周りに言われて仕方なく屋敷に向かってる」
「最近、何かされた!?」
「たまたま遊びに来てた令嬢や子息の子達と交流しようとすると、邪魔してくる。しつこい。俺とアイツの好きな香水の相性が悪くて臭い」
「…リアムが友達出来ないのって、もしかして」
「一概には言えないけどね。俺の性格上の問題もあるとは思うし」
まぁ…何はともあれ…
「色々愚痴って少しはスカッとしたよ」
「そうかしら…全然解決していない様な……」
「そりゃ、元はジオルド様への愚痴だったしな。そっから婚約者関連で俺の話になったし」
「!!(そういえばそうだった)」
「…とりあえず、今晩はぐっすり寝て、明日に備えるよ。明日から、ノアにビシバシしごいてもらうし」
「そ、そうね!」
―――今日の坊ちゃまは、どこか心非ずというか……無暗に剣を振り回し、挙句体力の消耗もそれでは大きく消耗するかと。
―――お坊ちゃまが強い方と知った時……本当にカタリナ様を想っているのなら、彼の戦い方は大きく変わる。
ジオルド様が俺を「強い」と認めた時、か。
そもそも、彼の戦い方自体が分からない。
…そもそも俺自身が、ジオルド様を、何も知らないから。
まだ色々モヤモヤするけど、一旦リセットするか…
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桐谷 - ohanaさん» 返信が遅くなり申し訳ございません!ありがとうございます!マイペース更新ですが、第3章も頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします! (2021年6月4日 23時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
ohana(プロフ) - 日々更新するのが楽しみなぐらい好きな作品です!今後も、応援してます、頑張ってください! (2021年6月2日 22時) (レス) id: 43410ab91f (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 結城さん» コメントありがとうございます!結構な低更新ですが、今後とも頑張っていきます! (2021年5月24日 20時) (レス) id: f26afb3430 (このIDを非表示/違反報告)
結城 - 物凄く面白いです!!何回も読み直しました!!!続き楽しみに待ってます!!!! (2021年5月24日 0時) (レス) id: ca8b7f5d28 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - 七夏さん» コメントありがとうございます!本日久々に更新致しました。今後ともよろしくお願いします! (2021年3月7日 23時) (レス) id: 98fa4274c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐谷 | 作成日時:2020年12月19日 23時