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俺が苛立つ中、お父様はお構いなしに話を続ける。
「まぁまぁ、リアム。君が怒る気持ちは分かるさ。非があるのはあの子達だったいうのは、私はとっても理解しているよ。
あの子達は自ら「殴ったら殴り返された」と証言していたし。
私の可愛い息子に、先に暴力を振るったのは彼らの方だ。それに、リアムは先に手を出す子じゃないからね」
「……それ、俺が「手を出されたらやり返す」っていうのを肯定してますよね」
お父様の苦笑いを見て、俺は思う。
「いくら何でもやり過ぎだ」と表情がそう仰ってる。
えぇ…俺加害者かよ。加害者が被害者の家に行くのかよ…
俺全然悪いと思ってないんだけど。だって手出したのそっちじゃんかよぉ。
けど、まぁ、この家の主はお父様だし、所謂命令ならそれに従わなきゃいけねぇんだよなぁ。
「で?俺があのコールマン家に何の用で伺えば?」
「うん、実は…あの家の子供を1人、養子としてウチに引き取りたいと思ってね」
「は………?」
…何、考えてんだ、この人。
アイツらのどっちかを、養子だと……?
「……トマスですか?それとも、その弟の―――」
「はは…その様だと、あの2人に対する怒りで、君は全く覚えていないようだね」
「覚えて、いない…とは?」
「“上の子”のトマス君でも、“真ん中の子”でもないよ、リアム」
「ん……?」
「とにかく会いに行けば分かるさ」
そう言ってお父様は微笑んで、俺の頭を撫でる。
そんな訳で後日、俺はコールマン子爵家に伺う…というか末っ子を迎えに行く事になった。
というかお父様、まだカタリナと王子の婚約が正式に決まった訳じゃないけど。
あの調子だと王子との婚約は断ると思うけど。
…ちょっと、聴いてみるか。
「カタリナの婚約が破談になったら、どうするんですか?」
「もちろんその時はその時さ。再びクラエス家の跡取り候補に戻るだけだ。
でも、私はそれ以上にカタリナには……女性には、好きな男の元で幸せになって欲しいからね」
「はぁ…」
「リアムだって、本当に大切な方が出来たら、その人と結ばれたいだろう?」
「え……?」
「私は、いつでも君達の幸せを優先するよ。何たって、私の可愛い子供達だからね」
お父様の言葉が理解出来ず、追及しようとして…
「―――カタリナ・クラエスぅぅうう!?!?」
(…それよりもまず、妹の精神面のケアに専念しよう、うん)
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桐谷 - 紗夜菜さん» 初めまして、コメントありがとうございます!現段階ではカタリナ曰く謎キャラなので、なるべく目立ち過ぎず、薄過ぎず、他の主要キャラと絡ませて話を進めていきたいと思います。 (2020年8月23日 17時) (レス) id: 5b2885fab5 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜菜(プロフ) - カタリナのお兄さんが逆にキャラが濃すぎでもなく、面白いです、応援してます! (2020年8月23日 15時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - かんなさん» 初めまして、ありがとうございます!ゆっくり亀更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 578378c135 (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - とても面白いです。更新楽しみにしてます! (2020年8月14日 0時) (レス) id: d024afc4b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐谷 | 作成日時:2020年4月16日 20時