10 ページ15
それから数日後
高熱に魘されていたカタリナが、意識を取り戻した。
どうやら身を起こす程度には回復したらしい。
なんだかんだで、カタリナの傍にいるのは落ち着く。
そりゃまぁ、確かに我儘だしキーキーうるさいし、辟易はする。
周りの大人達はそんなカタリナに振り回されているし…
―――私の双子の兄なんだから、傍にいるのは当然でしょ！
―――これ何とかして！リアムにしか出来ない事なんだから！
―――付いて来てくれるでしょ、リアム！
……我儘で傲慢で、どうしたものかと頭を悩ませる双子の妹だけど
必ず、俺の居場所を作ってくれるのだ。
嫌いにはなれない。どうしても。
誰がどう見てもカタリナは悪い子で
俺も良い人間ではなく、むしろ色んな意味で悪い子で
双子の兄妹であるが故、惹かれ合うのは必然なのだろう。
(…だからこそ、魔法学園に入学するまで、コイツのこの性格は何とかしないと…
それにあの少年……ジオルド王子のあの日の顔を見ると、胸騒ぎが止まない。
せめて、カタリナ自身がジオルド王子に興味を失くす事が出来れば良いが……)
「……カタリナ、具合はどうだ？」
「ふぇ!?」
「え？」
「あ、えっと……も、もう大丈夫よ」
「……あ……あぁ」
……？
「…お父様、お前が血濡れで倒れてて、ずっと泣いてたぞ」
「え、そうなの…!?後でお父様に謝らないと……皆にも、リアムにも迷惑かけたわね……」
「………」
何だ？この違和感。
「…まぁ気にすんな。それより、スティアート家が明日お見えになるそうだ」
「え？どうして？」
「いや、どうしてって…」
「あ、そっか。私が怪我したせいで、予定が狂ってしまったものね……」
「いや、そうでもないと思うけど」
「あら、そうなの？」
「おう…？」
あの日の予定なんかよりも、俺の調子が狂ってる。
つーか、カタリナ自身が狂ったのか？
そのせいで、会話のテンポが合わない。
一方のカタリナは、俺の様子に全然気付いていない。
「じゃあ、明日に備えて万全にしないとね。まだ身体の調子が良くないし……」
本当だ、少しだけ目がトロンとしている。
とりあえず、俺達は互いに夜の挨拶を済ませ、俺は自室に戻る。
具合が悪いからか？
それとも、マジで懲りてお淑やかになったのか？
とりあえず、今言えるのは……
「……あの子、誰？」
だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桐谷 - 紗夜菜さん» 初めまして、コメントありがとうございます！現段階ではカタリナ曰く謎キャラなので、なるべく目立ち過ぎず、薄過ぎず、他の主要キャラと絡ませて話を進めていきたいと思います。 (2020年8月23日 17時) (
レス) id: 5b2885fab5 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜菜(プロフ) - カタリナのお兄さんが逆にキャラが濃すぎでもなく、面白いです、応援してます！ (2020年8月23日 15時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)
桐谷 - かんなさん» 初めまして、ありがとうございます！ゆっくり亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: 578378c135 (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - とても面白いです。更新楽しみにしてます！ (2020年8月14日 0時) (レス) id: d024afc4b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桐谷 | 作成日時：2020年4月16日 20時
